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シミュレーション(概要)
待ち行列のシミュレーション(健康診察)
やや現実に近い待ち行列プロセスをシミュレーションする例を掲げます。この程度でも定式化するのは困難でシミュレーションで検討するのが適切です。
モデルの説明
- 右図のような健康診断プロセスを考えます。客(被検者)は、問診→診察→指導を受けて退去します。
- 問診により、A診察かB診察のどちらを受けるかを指示されます。
- 診察室は、診察1と診察2の2室があります。診察1ではA・Bどちらの診察も行いますが、診察2ではAの診察しかできません。
- Bを受診する客はすべて診察1に入りますが、Aの客は、診察1と診察2のどちらでも受診できます。その選択方法は、両室の系内人数が少ないほう、同じならば診察2を優先します。
- 図のように、問診、診察1、診察2、指導の4か所に待ちが生じます。前の3つでは到着した順(客番号順)になりますが、指導では診察が早く終わった順になりますので、必ずしも客番号順にはなりません。
- 最初の客は時刻0に到着し、その後の客の到着間隔や各サービスの所要時間は三角分布に従う乱数で与えます。
入力データ
- 図示対象客とは、客の流れをガントチャートで図示する客のことです。最小=10、最大=20とすると、10番目に到着した客から20番目に到着した客を対象にします。図の見栄えから客数は10~15人程度が適切です。
- 三角分布の平均値は (最小値 + 最頻値 + 最大値)/3 になります。行列が無限に長くならないために、各平均値は
問診時間、指導時間<到着時間、 A診察時間、B診察時間<2×到着時間
でなければなりません。
シミュレーション結果
図示対象客の流れ
上で指定した図示対象客(白い部分)とその前後の影響を当たえる数名(灰色の部分)の流れを図示します。
黒:客の到着、赤:問診、青:診察1、緑:診察2、紫:指導
客 細線:待ち状態、太線:受診状態 サービス 線:稼働中、点:新客到着
- 「観測客の流れ」表の該当客番号の部分を参照にして確認してください。
- 横軸目盛は、最初の客が到着した時点からの時間です。
- 診察Aの客は通常は診察2に進みますが、問診終了時点での系内人数が診察1より診察2のほうが多いときは診察1に進みます(☆印)。
- 指導では、客番号の大きい客が診察が先に終了して、指導を受ける順序が逆転することがあります(□印)。
観測客の流れ
表が膨大になるので、初期、中期、後期の10人および図示対象客について示しました。
- 中:受診中、待ち:診察待ち、系内:到着してから去るまで
- 診察区分・診察室の待ち1と2:Aが診察室を選ぶための診察1と2の待ち人数。待ち1<待ち2 のとき診察1を選択
- 指導の追抜:後から来た客が診療が早く終わったので指導を先に受ける。値は追い抜かれた客番号
各種統計
確率の実現値と理論値の比較
乱数を用いたシミュレーションでは、実際に発生した乱数群(実現値)が意図した分布(理論値:入力した値)に一致していることを確認する必要があります。観測客数が大きいとよく一致しますが、少数だと一致しないため、結果が信頼できないことになります。
客の到着と問診
診察
指導
到着から退去までの全体
サービス側