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作業の所要時間と前後関係だけが条件のときは,「PERTの計算」での手順により,クリティカル・パスを求めることができますが,資源に制約があるときには,それによる調整が必要になります。
PERT、山崩し法、PERT/MANPOWER
例えば,作業2-4と作業3-5はパワーシャベルを使う必要があるが,それが1台しかないので,同時には作業できない場合に下のアローダイヤグラムをどのように修正すればよいかを考えます。すでに余裕の関係が把握できていれば,作業3-5を10日以降に開始すればよいので修正の必要はないことがわかりますが,ここではアローダイヤグラムを作成する段階であるとします。また,どちらの作業を先にするかの条件がありませんでしたが,ここでは作業2-4を先行させる条件を新たに付け加えます。
作業3-5の先行作業に作業2-4が加わるだけだとして,上図のようにダミー作業4-3を加えたのでは,作業3-5と作業3-4によりループが生じてしまい,作業3-5と作業4-5などとの前後関係がわからなくなってしまいます。
このようなときに,ダミーアクティビティをうまく使うのです。下図のように新しいイベント7を設けて,ダミーアクティビティ7-3と7-4を追加すれば,上記の条件を満足したアローダイヤグラムになります。
しかしこれではあまりにも冗長です。一つのイベントに複数のダミーアクティビティが関係しているときには,よく考えることにより簡潔な表示に書き直すことができることが多いのです。この例でも,下図のほうがすっきりしています。
このように,1台しかない資源を複数の作業で用いる制約は,アローダイヤグラムを修正することにより解決することが多いのです。
資源がマンパワー(人数×日数)により制約を受ける場合があります。例えば,各作業の所要日数は,各作業に従事する人数が10人であることを前提としたものだとします。もし作業1-2,1-3,1-4が同時に行われるとすれば30人が必要になりますが,全体で20人しか調達できないとしたらどうなるかというような問題です。
ケースAは,すべての作業を最早開始時刻に開始したときの図です。このような図を描くときは,クリティカルパスの作業を一番下にして区別しておくと便利です。この場合は作業1-4の部分が超過しています。
ケースBは,各作業を最遅完了時間に合わせたものです。事態は改善されていませんが,ケースAとケースBを見比べることにより,問題が明確になってきます。ここではイベント4の10日が重要な期日であり,それ以降の作業では人的制約に余裕があるので特に考慮する必要がないこと,それ以前の期間は,クリティカルパスをこのままにしていたのでは,絶対に20人にはできないことがわかります。
20人で行うには,作業1-3と作業1-4を並列作業から直列作業にする必要があります。そうするとケースCのようにクリティカルパスが変化して,プロジェクト全体の所要日数が3日増加しなければならなくなることがわかります。
この例は,すべての作業の人数が同じでしたが,当然個々の作業では必要人数が異なります。また,人数を増加・減少させると所要時間が短縮・延長するという関係を組み込むことも考慮する必要があります。新しいクリティカルパスの作業を短縮するために,余裕のある作業から人をまわすことが考えられます。
このような問題を