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PERTは,作業の流れをアローダイヤグラムという図に表現することから始まります。ここでは,そのアローダイヤグラムの作成方法を習得することを目的にします。
PERT,日程計画,作業計画,先行作業,アローダイヤグラム,イベント,アクティビティ,ダミーアクティビティ
建築工事などのプロジェクトでは,多くの作業があり,作業Aが完了しないと作業Bに着手できないという順序関係が複雑にからみあっています。そのような状況において,プロジェクト開始から完了までの期間を最短にするには,どの作業をいつから着手していつまでにいつまでに完了しなければならないかを管理する必要があります。
それを日程管理とか作業管理といいます。そのうち,プロジェクトの期間を最短にする手法の代表的なものにPERT(Program Evaluation and Review Technique)があります。
PERTの典型的な例を掲げます。
W1~W8の作業の所要日数と作業間の前後関係が下表のように与えられているとき,このプロジェクト全体の期間を最短にすると何日からるでしょうか。また,ネックになる(この作業が遅れるとプロジェクトの完了が遅れる)作業はどれでしょうか。先行作業とは,例えばW4はW1が完了していないと着手することだできず,W6はW2,W3,W4のすべてが完了しないと着手できないことを示します。
作業 所要日数 先行作業
W1 6 なし
W2 7 なし
W3 5 なし
W4 4 W1
W5 3 W2
W6 8 W2,W3,W4
W7 10 W2,W3,W4
W8 9 W5,W6
PERTでは,まず下図のようなアローダイアグラム(矢線図の意味)を作成することから始まります。ここでは,アローダイアグラムの作成を通して用語や概念の理解をします。
PERTでは,作業を矢線で表し,それをアクティビティといいます。その着手時点・完了時点を○印で表し,それをイベントといいます(下左図)。イベントには重複しないように番号をつけます。するとW1は1-2,W2は1-3のように表現できます(下右図)。
一つのイベントに複数のアクティビティが流入したり複数のアクティビティが流出することがあります。例えば下左図のイベント4は,W3とW4が完了した点でもあり,W6とW7が開始する点でもあります。また,この図によりW6とW7の先行作業がW3とW4であることを示すことができます。
ここまでで,W1~W4までを下右図のように描くことは容易でしょう。
問題では,W6の先行作業はW3とW4以外にW2があります。それを下左図としてはいけません。
・W2とW3が,どちらも1-4となり区別できません。
・W5の先行作業はW2だけなのにW3やW4も先行作業になります。
それで,下右図の点線(3-4)のように所要日数0の仮(ダミー)の作業を設定すれば解決します。これをダミーアクティビティといいます。アローダイアグラムの作成では,このダミーアクティビティを適切に設定することがコツです。
アクティビティに所要日数を記入してプロジェクト全体のアローダイアグラムを作成することができました。その結果は下図になります。
下図のアローダイヤグラムに,次の修正をした結果を書き入れよ。
過去問題: 「PERT」