ワークフロー管理システムとは、日常的な業務の流れ(ワークフロー)をシステム化するもので、物品購入や出張手続きなどの稟議・決裁などに広く利用されています。
ワークフロー管理システムの例
OA機器の購入申請を例にします。その起案から決裁までのワークフローは、次のようになります。そのときの多様なニーズに応えるのがワークフロー管理システムです。
- 申請者は、OA機器購入申請書に必要事項を入力して書類を部長に提出する。
- 部長は、それを審査して承認か却下かを決定する。
- 承認したとき、金額が50万円以上なら役員審査へと書類が送られ、役員審査で承認が得られると、発注処理へと進む。
- その後、経理部の処理へと進む。
- 上記の審査で却下されたときは、却下されたことが申請者に通知される。
このプロセスを電子化することを考えます。伝票を添付ファイルにして、担当者→課長→部長と転送すれば、それで解決できように考えられます。しかし、実務では次の機能が求められます。このようなニーズに応えたのがワークフロー管理システムです。
- 伝票と本文を別々に作成するのは面倒である。伝票の形式は決まっているのだから、一つの画面で入力できれば便利である。
- 承認印を押すのを電子化するために、本人でなければアクセスできないようにするセキュリティ対策が、一般の電子メール以上に重要になる。
- 伝票の種類(予算項目や購入金額など)により、次に回覧すべき相手が決まっている。それをシステムが管理しておき、承認したら自動的に次の回覧先へ送付できれば便利である。
- 承認/却下を検討するためには、予算消化状況やOA機器設置状況などの参考資料も必要である。それをクリックするだけで確認できたら便利である。
- 最終決裁者が承認したら、伝票のデータを基幹業務系システムの購買システムに自動的に入力できるようにしたい。
ワークフロー管理システムの位置づけ
ワークフロー管理システムは、電子メールの機能に、転送の自動化、本文・添付ファイルの標準化、電子署名、転送の自動化など多様な機能を付加した形態であり、グループウェアの発展形態だといえます。
また、従来の基幹業務系システムでの購買システムは、購入の承認を得て購買データを入力した以降をシステム化しただけで、いうなれば「点としてのシステム化」でした。それに対して、ワークフロー管理システムは、購入に関する業務全体をシステム化する「シームレスなシステム化」であるといえます。
ワークフロー管理システムの効果
ワークフロー管理システムにより、稟議に要する時間が短縮され、迅速な意思決定が行われる効果が得られます。
- OA機器の購入では、所属部門だけでなくIT部門の承認が必要なように、複数の部門の承認を得ることを合議といいます。紙の稟議書では、各合議部門を直列的に回すため、最終決裁までに長時間かかります。それに対して、デジタル化した文書は、複数の合議部門が並列的にアクセスできるため、短期間で決裁できます。
- 稟議書の回覧先には、承認を得ることが目的ではなく、情報を連絡するために回覧する場合があります。そのような回覧先には、デジタル文書がアクセスできる状態にしておけばよいため、回覧先を少なくすることができます。
- ワークフロー管理システムでは、どこに稟議書が到達し決裁されたかをトレースする機能があります。各人の平均処理時間のリストを作成できます。これらにより、決裁を迅速に行うようになります。