部分最適化、全体最適化
部分Aと部分Bが、同じ方向に活動すれば、全体としてPの成果が得られます。ところが、互いに異なる方向に活動したときは、その結果はQになります。Pの方向での大きさはRになります。すなわち、
・十分な成果が得られない(無駄な努力になる)。
・Rが本来の方向だとすれば、それと異なる方向へ進む。
ことになります。
製品流通を例にします。販売部門は、顧客満足のために顧客の要求通りに納入するため、トラックがいつでの待機状態にあることを望みます。それにたいして流通部門は、流通コストを下げるために計画的な配送をしたいので、販売部門に受注を平滑化したり、納品日程に余裕をもたせるよう要求します。
販売部門だけの要望で販売システムを構築し、流通部門だけの要望で流通システムを構築したのでは、全体として最適な結果にはなりません。
このような現象を「部分最適化の総和は全体最適化にはならない」といいます。
全体最適化を図るには、全体の方向(Pの方向)を策定して、その方向へ進むべきことを明確にする必要があります。
販売システムや流通システムを独自に検討するのではなく、全体としての情報化戦略を策定することが必要です。また、情報化戦略は経営戦略(全体)の一つのサブ戦略(部分)なのですから、情報化戦略策定以前に経営戦略が明確になっていること、経営戦略に合致して情報化戦略を検討しなければならないのです。
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この図では、それでもRの成果が得られます。部分の数が多く方向がバラバラだと、互いに打ち消しあって、結果としてOになってしまうこともあります。
「全社員、努力せよ」との掛け声のもと、真剣に努力しても成果が得られないことがあります。これは、方針が与えられないので、全員が部分最適化を追求した結果です。