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PEST分析


PEST分析とは

SWOT分析は、社内環境の強み・弱み、外部環境による機会・脅威の4つの観点から経営戦略を策定する技法であるのに対して、PEST分析は外部環境の変化を重視し、マクロ的な視点から分析して経営戦略を策定する技法です。

PEST分析は、マクロな外部要因を
 ・P(Politics:政治的要因)
 ・E(Economy:経済的要因)
 ・S(Society:社会的要因)
 ・T(Technology:技術的要因)
の4つの要因に分解し、変化による自社への影響を見極め、新事業への進出や現事業の改革など、今後の方向性を考えます。

各要因の特徴

P(Politics:政治的要因)

国内では、法律や条例、規制緩和や税制の変化などの政策は、民間企業にとって、ビジネスチャンスを生み出したり、対応コストの増大よる圧迫に直結します。

外国との関係では、米中関係の変化は日米、日中の貿易に大きな影響を与えます。ウクライナやイスラエルなどの紛争は、地理的には遠くても、小麦や石油の価格に大きな影響を与えます。台湾周辺の緊張は、日本の対中・対台政策に大きな影響を与えます。

E(Economy:経済的要因)

景気の動向や為替レート(円高、円安)、原材料や流通コストなど物価の変動は、企業財政に大きな影響を与えます。特に近年は変動が急激で、しかも、その要因が複雑になっており、正しく予測することが困難になっています。

S(Society:社会的要因)

SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)への取り組みが、企業経営の前提になってきました。コスト高になり企業財政を圧迫することもあるし、新製品・サービスが受け入れられる機会にもなります。

高齢化や少子化による人手不足は、多くの経済活動に深刻な影響を与えています。仕事の合理化や省力化の効果が高くなっています。
SNSの普及により、消費者の発言が商品やサービスに、良いほうにも悪いほうにも、大きな影響を与えています。

社会的要因は、政治的要因や経済的要因と比較して、明確な情報を得たり、適切な因果関係を見つけるのが困難な特徴があります。

T(Technology:技術的要因)

モノとしての新技術。既存の商品・サービスを陳腐化し、新しい商品・サービスが台頭し主流にします。
活用としての新技術。DXやIoT、さらに最近ではAIを業務に取り込むことが、競争優位を得る大きな手段になってきました。

技術的要因への対応は、考え方の変化、人材の育成、配置転換など、社内環境対応が他の要因と比較して重要性が高い特徴があります。