組織階層は一般にトップマネジメント,ミドルマネジメント,ロアーマネジメントの3つの階層分けられます。
- トップマネジメント
- いわゆる経営者です。役員全体を指すこともありますが,一般的には執行役員は含めません。企業全体の総合・全般管理を担当します。
- ミドルマネジメント
- 部長・課長などです。中間管理者ともいいます。担当する部門の管理を担当します。
- ロアーマネジメント
- 係長,職長などです。最近ではグループリーダーなどの呼称が用いられています。現在では一般社員も含まれることが多い。現場での管理を担当します。
社長は企業全体に関わる意思決定をするでしょうし,部長は自分が担当する部門に関する意思決定をするでしょう。一般社員でも,自分に任された業務の中で意思決定をします。アンゾフは,意思決定を戦略的意思決定,管理的意思決定,業務的意思決定の3つの階層に区分しました。
- 戦略的意思決定
- 主にトップマネジメントが行う意思決定です。企業合併や新分野進出など,企業全体に関わる重要な問題が対象になります。これらの問題は,繰り返されることが少なく参考にするべきマニュアルもなく,成功すれば大きな効果があるが,失敗すると多大な損害になるというハイリスクな問題なのが特徴です。
- 管理的意思決定
- 主にミドルマネジメントが行う意思決定です。トップマネジメントが設定した全社的で基本的な政策を受けて,自分が担当する部門においてそれを実現させるために,組織の編成をして目標を与えて実行させること,資材の調達方法や製品の販売方法などを考えることなどの意思決定です。戦術レベルの意思決定だともいえます。ここの特徴は,戦略的意思決定と業務的意思決定の中間になります。
- 業務的意思決定
- 主にロワーマネジメントが行う意思決定です。与えられた目標や業務の仕方を前提として,スケジュールの決定や資材調達量の決定など実際の業務を遂行するための問題を対象にします。戦闘レベルの意思決定だともいえます。日常的に繰り返される(定例的)ことが多く,決定する方法も決まっている(定型的)ことが多いのが特徴です。
観念的には上記のような区分になりますが,必ずしも職制により意思決定の階層を厳密に区分することはできません。ロワーマネジメントでも自分の業務の仕方を改善・改革するために創造的な(非定例的・非定型的な)意思決定をすることもあります。
定例的定型的な業務は,その多くが情報システムにより代替されるようになりました。それで一般社員も単に決められたことを着実に行うことよりも,管理的意思決定ができるようになることが求められています。
ミドルマネジメントは,自分が担当する部門での意思決定ですが,たとえば販売部門がインターネットを用いて直接に注文を受けるとか,顧客ニーズに合致した製品開発をするなど,創造的な意思決定を必要とする機会が多くなってきました。