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経営と情報
Web3.0
Web3.0の位置づけ
Web3.0の明確な定義はありません。インターネットの技術や利用形態が大きく変化してきたことの表現です。その最大の特徴は「分散管理(管理者不在)のインターネット」だということです。また、AIやVRなどの技術をとりこんだネット活用。それらによる社会の変化など広くとらえることもあります。
- Web1.0 「一方通行のインターネット」の時代
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- Webサイト作成は団体や企業と一部の個人で、大多数の人はそれを閲覧する形態でした。
コンテンツはテキストや静止画が主流でした。
電子メールは、送信と受信が別々に行われるだけで、チャットのような双方向は実現していないでした。
- Web2.0 「双方向のインターネット」「中央集権のインターネット」の時代
- ブログ、SNSなどにより、誰もがWebページを作ることができ、閲覧者が「いいね」や「コメント」を入れるなど、Webの双方向化が進みましだ。電子メールではチャットのような双方向利用が普及しましたた。
スマートフォンが普及し、電話機よりもインターネットのモバイル端末としての利用が主流になってきました。
また、大量データの処理、動画処理が容易になり、ネット取引やコンテンツ共有サービス等が普及してきました。
これらの利用は、特にネット取引の分野では、データの正当性・正確性が重要です。それらは運営者の信用が担保になるので、ネット銀行やネット取引では、主に企業が運営するネットワークのなかで行われます。
よころが、信頼性を高めるには、自社運営よりも認知度の高い大規模ネットワークに参加するほうが適切だと認識されるようにな画いました。
Webサイトへのアクセスでは Google, ネット販売では Amazon, SNSでは Facebook(現 Mega)、スマートフォンでの Apple のような巨大企業(GAFA)が運営するシステムを利用するなど集約化が進んでいます。
そのため、個人のネット利用の情報など個人情報がこれらの巨大企業に集中し、寡占による弊害が指摘されるようになってきました。
- Web3.0 「分散管理(管理者不在)のインターネット」の時代
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ビットコインなどの暗号資産(仮想通貨)で採用されたブロックチェーンの仕組みを活用することにより、管理者不在のネットワークで、高度のデータの正当性や追跡可能性が保証されることが受け入れられました。むしろ管理者のないインターネットのほうが、多様なメリットがあるとされ、その発展が期待されています。これがWeb3.0の最大の特徴とされています。
Web3.0を支える技術や仕組み
- ブロックチェーン
- 以来すべての取引情報を蓄積した取引台帳のようなものです。いくつかの取引データをまとめたものをブロックといい、全取引がブロックのチェーンで結合されています。新しくできたブロックはブロックチェーンの末尾に結合されるのですが、そのとき、複雑な暗号計算を行い、暗号が解かれることににより、それまでのチェーンとブロックの正当性(改ざんされていない)ことが立証できます。
ブロックチェーンは唯一の内容ですが、多様な場所に同一内容のデータが存在しており、互いに同期がとられ、その内容は誰でも分析できる仕組みになっています。これにより、「管理者不在のネットワーク」で、データの一貫性や透明性が保持されるのです。
当初はビットコインなどの暗号資産に用いられていましたが、次第に法定通貨を対象にした取引にも利用されるようになってきました。
- DeFi(Decentralized Finance、分散型金融)
- 主に仮想通貨を扱うオンライン金融機関のような存在です。取引の決済、預金、仮想通貨の交換、法定通貨との交換などを行います。
- NFT(Non-Fungible Token:非代替性トークン)
- デジタルコンテンツの正規の所有者を特定する技術です。デジタルコンテンツはコピーが簡単で原本との違いがありません。その売買において原本なのか不当にコピーしたもの(贋作)かを証明する技術で、ブロックチェーンの仕組みが応用されています。
- メタバース
- VR(仮想現実)などの技術を発展させて、3次元仮想空間を作り、自分の分身であるアバタを仮想空間内で行動する仕組みです。仮想空間の中に観光地や商店街を作り、アバタは歩き回ったり、他のアバタとコミュニケーションをしたり、店舗で買物をしたりできます。その環境設定にはAI技術も取り入れることもあります。
メタバースは、管理者不在インターネットと直接の関係はあまりありませんが、インターネット利用を根本的に変えるとして、Web3,0の一分野になっています。
Web3.0の利点
Web3.0と個人の権利
- 個人情報の保護
Web2.0では、特定の企業が管理運営するネットワークを利用すると、そこでの利用内容は運営者が保管し、多様な用途のために分析利用することが可能です。
例えば、あるサイトで買い物をすると、他のサイトにアクセスときでも、その商品に関連する広告が表示されることは日常的に経験しています。また、攻撃あるいは不注意により、管理者サーバからの個人情報の漏洩が頻発しています。
Web3.0では、利用者自身が自分のデータの所有権を持ち、データの利用をコントロールできるようになります。すなわち、個人情報をどう公開するかは利用者の自己責任になります。
- 権力からの独立
国家権力(独裁者)が、特定の個人やコンテンツの検閲をすること、コンテンツの消去やアクセス遮断をすることなどは、よく知られていることです。これはネットワーク管理者が少数なら容易ですが、Web3.0のような状況では、かなり困難になるでしょう。
Web3.0の利便性
- OS、端末、ブラウザからの独立
WindowsとMac、AndroidやiOSなどOSが異なると使えるアプリが異なります。ブラウザが異なると表示される形式が異なります。これは「中央集権のインターネット」の名残だともいえましょう。
それを統一するための標準化や、違いを吸収するためのインタフェースの開発が進んでいます。Web3.0の活用ではこれが重要な要素になるので、開発が加速されましょう。
- システムの効率化
Web3.0では、多くの情報が分散管理されています。
サービス提供者は自社サーバにそれらを保管する必要がありません。関連情報もクラウドにあるので、多様なサービスを提供するのが容易になります。利用者にとっても一連の利用をシームレスに行うことができます。
- システムの安定化
1台のサーバのダウンが広範囲に影響を与えるようなことが防げます。