ETSS(Embedded Technology Skill Standards:組込みスキル標準)とは、組込みソフトウェア技術者の開発スキルを測定する指標です。経済産業省によって定められており、IPA SEC(情報処理推進機構 ソフトウェア・エンジニアリング・センター)がその推進や普及を担当しています。2005年に策定され、2008年に共通キャリア・スキルフレームワークとの整合性をとって改訂されました。
ETSSは、「スキル基準」「キャリア基準」「教育研修基準」の3つの基準からなっています。
スキルとは、技術や手法を用いて作業を遂行できる能力です。技能だといえます。
スキル基準では、組込みソフトウェアの技術や手法を、技術要素、開発技術、管理技術に区分にわけて列挙しています。組織として必要なスキル、個人のもつスキルを4段階のレベルで体系的に整理します。
組込みソフトウェア開発に関わる職種/専門分野を定義しています。そしてそれぞれの職種/専門分野について、共通キャリア・スキルフレームワークに準じて7つのレベルで求められる内容を示しています。
スキル基準が「何ができるか」を示したものであるのに対して、キャリア基準では職種/専門分野において「どの程度のスキルをもっているか」を示すものです。そのため、スキルも技術スキルだけでなく、
・パーソナルスキル:コミュニケーション、リーダーシップなど個人的なスキル
・ビジネススキル:経営、会計、マーケティングなどに関するスキル
も加えています。また、関係する主な職種と専門分野について、責任やモラルを明記しています。
そして、2つの表現により、職種/専門分野とスキルを対応づけています。
・スキル領域
職種/専門分野毎に、ミドルレベルにて保有することが望まれるスキルを提示
・スキル分布特性
職種/専門分野毎およびキャリアレベル毎に、必要なスキルおよびスキルレベルを提示
組込みソフトウェア開発の人材育成を実現するための教育や訓練に関する構造や仕組みを定義したものです。人材育成を実現するために必要な教育手段の構造を明確にしています。
スキル基準で掲げた技術要素、開発技術、管理技術に関して、初級→中級→上級で教育すべき内容を、特定別の技術分野に対する知識やスキルを習得するために、必要となる教育項目の組合せである科目として体系化しています。また、教育体制の整備、教育の進め方などの解説もしています。