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地方自治体Webサイトとバナー広告


地方自治体サイトWebでのバナー広告の増加

最近は、地方自治体のWebページに、民間企業のバナー広告が見られるようになりました。時事通信社の調査(時事ドットコム「バナー広告を新財源に=39道府県が取り組み開始-ホームページに掲載」2007年10月27日)によると、以前から実施している(12月開始の奈良県を含む)が40府県であり、東京都を除く6府県が検討中だのことです。
  以前から実施    22府県
  2007年度に実施 18
  検討中        6
  予定なし(東京都)  1

 また、日本広報協会の調査では、2007年6月末現在、市区町村も含めた自治体のWebサイトの18%で広告が導入されているとのことです。

時事通信社の調査での広告を行う理由は、実施中・予定40府県のうちすべてが「新たな財源確保策」であり、次いで「地域産業PR・活性化のため」が14府県になっています。また、ITpro「サイト広告に乗り出す自治体,その是非を考える」によると、横浜市の2005年度のWebサイトでの広告収入実績は2,300万円、神戸市は1,000万円だったとのことです。

地域産業との関係

Webサイトを構築してもアクセス数が少ないのでは役に立ちません。あくせすする人は、直接そのページのURLを入力するよりも、検索エンジンを介してアクセスするのが通常です。ですから、検索エンジンで上位に表示されることが重要で、そのための工夫であるSEO(Search Engine Optimization)がビジネスにまでなっています。
 SEOのうち最も効果があるのは、著名なサイトからリンクされていることだそうです。地方自治体のWebページは、総じてアクセス数が多く、信頼性が高い特徴があります。ですから、地方自治体サイトからリンクされるのは、アクセス数を増加させるのに適切な手段だといえます。

本来、地域自治体のWebページは住民のためのものですから、地域の産業や観光などを支援して地域経済の振興を図ることは、その目的に合致します。ですから、地域の民間サイトにリンクをすることは好ましいことです。既に地方自治体からの住民への広報誌には、以前から広告が入っていました。しかも、Webサイトは地域外の閲覧者も多いので、地域活性化にはより適した媒体です。

しかし、公共の観点から特定の団体に差別的サービスをすることは不適切です。また、いかに広告だとはいえ、地方自治体の性格として不適切なWebページにリンクするのは困ります。それで、バナー広告をしている地方自治体では、広告主の審査条件を設定しています。また、適切なWebページにリンクすることは、本来地方自治体ページで扱うことを代行してもらえるという利点もあります。

Webアクセシビリティやユーザビリティへの考慮

音声化への考慮
いかにWebアクセシビリティが重要だからといっても、音声ソフトでくどくどと広告を読み上げられるのは困りものです。
 ・本来のコンテンツの後に広告がくるように配置する
 ・ここからは広告であるとを知らせる
 ・あまり煩雑にならないように、読み上げるALTの記述を制限する
などの工夫をする必要があります(広告主との調整が必要ですが)。
また、もし、公的なものと営利目的のものがあるある場合には、それぞれを分離することも必要でしょう。
広告であることの明確化
Webページに埋没した体裁になると、あたかも地方自治体がリンク先の信用まで保証しているようにも受け取られかねません。そのような考慮から、一目で広告とわかるようにすることが求められます。それにはバナー広告の体裁にして、一か所にまとめるのが適切です。
また、「バナー広告について」というようなWebページにより、どのような条件でバナー広告を受け入れているのかを閲覧者にわかるようにすることが重要です。
実際に、ほぼすべてのサイトでこのような配慮をしています。

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