個人情報保護法、医療・介護分野、過剰反応問題
個人情報保護法の全般については、別章「個人情報保護法」を参照してください。
同法の施行にあたり、「医療,金融・信用,情報通信等,国民から高いレベルでの個人情報の保護が求められている分野について,特に適正な取り扱いの厳格な実施を確保する必要がある個人情報を保護するための個別法を早急に検討すること」を求められています。
正式には、厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイドライン」(平成16年通達、平成18年改正)といいます(http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/seisaku/kojin/dl/170805-11a.pdf)。
個人情報保護法を遵守するための具体的な考え方や方法を示したものです。個人情報保護法では、医療・介護分野の主務大臣が厚生労働大臣ですので、実務的には本ガイドラインに準拠した対策が求められます。
本ガイドラインでは、この分野の特殊性を考慮して、個人情報保護法と異なる解釈をしている部分、特に詳しく説明している部分があります。
本来、個人情報保護法は、本人の権利や利益を守ることが目的です。それなのに、大規模事故発生時に負傷者家族からの安否確認への回答拒否、福祉団体・民生委員への老人情報の提供拒絶など、個人情報保護への過剰対応が問題になりました。
本ガイドラインでは、次の場合には、本人同意なしに第三者情報提供ができるとしています。
・家族又は関係者等からの問合せ
意識不明で身元不明の患者の安否確認
大規模災害等で多数の傷病者が一時に搬送された場合
・警察等からの照会
捜査機関の行う任意捜査も「法令に基づく場合」に該当
災害発生時に警察が負傷者の住所氏名や傷の程度等を照会
なお、民生委員や自主防災組織に、要援護者に関する情報を提供することについては、
内閣府「災害時要援護者情報の避難支援ガイドライン」(平成18年)
http://www.bousai.go.jp/hinan_kentou/060328/hinanguide.pdf
内閣府「わかりやすい個人情報保護のしくみ」(平成20年)
http://www5.cao.go.jp/seikatsu/kojin/kaisetsu/panfu08.html)
などで示されています。
これらの情報は平時から自治体で整備しておく必要がある
自主防災組織にも守秘義務に関する誓約書の提出等を求める
あらかじめ要援護者の同意を得ておく
ことにより、これらの情報を共有化して有効に活用することが重要だとしています。しかし、個人情報に接する関係者の増大、個人情報漏洩の機会の増大などへの対策が求められるのは当然です。
医療・介護分野では、個人情報が多岐にわたり、その漏洩が深刻であることから、多様なガイドラインなどが策定されています(その列挙)。
「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイドライン」厚生労働省(平成18年改正)
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2004/12/dl/h1227-6a.pdf
「医療機関等における個人情報の保護 に係る当面の取組について」厚生労働省(平成16年)
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2004/12/dl/h1227-6b.pdf
「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイドライン」に関するQ&A(事例集)」厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/seisaku/kojin/dl/170325iryou-kaigoqa.pdf
「診療情報の提供等に関する指針」 厚生労働省(平成15年)
http://wwwhourei.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/150916-b.pdf
「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」厚生労働省(平成17年)
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2005/03/dl/s0331-8a.pdf
「医療機関における個人情報の保護」日本医師会(平成17年)
http://www.hokkaido.med.or.jp/new/juyo/kojinjo2.pdf
「診療情報の提供に関する指針[第2版]」日本医師会(平成14年)
http://www.med.or.jp/nichikara/joho2.html
「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針」文部科学省,厚生労働省,経済産業省(平成16年改正)
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/seisaku/kojin/dl/161228genomu.pdf
「遺伝子治療臨床研究に関する指針」文部科学省,厚生労働省(平成16年改正)
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/seisaku/kojin/dl/161228idennsi.pdf
「疫学研究に関する倫理指針」文部科学省,厚生労働省(平成16年改正)
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/seisaku/kojin/dl/161228ekigaku.pdf
「臨床研究に関する倫理指針」厚生労働省(平成16年12月改正)
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/seisaku/kojin/dl/161228rinsyou.pdf
「経済産業分野のうち個人遺伝情報を用いた事業分野における個人情報保護ガイドライン」経済産業省(平成16年)
http://www.meti.go.jp/press/20041217010/041217iden.pdf
「災害時要援護者情報の避難支援ガイドライン」内閣府(平成18年)
http://www.bousai.go.jp/hinan_kentou/060328/hinanguide.pdf
「雇用管理に関する個人情報のうち健康情報を取り扱うに当たっての留意事項について」厚生労働省(平成16年)
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/seisaku/kojin/dl/161029kenkou.pdf
「福祉関係事業者における個人情報の適正な取扱いのためのガイドライン」厚生労働省(平成16年)
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/seisaku/kojin/dl/161130fukusi.pdf
「健康保険組合等における個人情報の適切な取扱いのためのガイドライン」厚生労働省(平成16年)
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/seisaku/kojin/dl/161227kenpo.pdf
「国民健康保険組合における個人情報の適切な取扱いのためのガイドライン」厚生労働省(平成17年)
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/seisaku/kojin/dl/170401kokuho.pdf