CGMとは
1990年代の個人的なインターネットの利用では、電子メールを除けばWebページ閲覧が主であった。そこでは、情報発信する側と受信する側がかなり明確に区分されていた。
ところが、2000年代になると、多様な利用形態が発生した。その大きな流れに、ブログ、SNS、Twitterなどのように、利用者の積極的な参加を前提とするコミュニケーション分野がある。
それをCGM(Consumer Generated Media)という。Consumerとは消費者のことであるが、商取引に限定せずに、一般の利用者という意味で用いられている。
CGMの概念は非常に広く、口コミサイト(「価格コム」など)やナレッジコミュニティ(「hatena」や「Yahoo!知恵袋」など)、BBSポータル(「2ちゃんねる」など)も含まれるが、ここでは、一般的なブログ、SNS、Twitterを主体にする。
なお、CGMは、企業と消費者の間でのコミュニケーションの場として、ビジネス分野でも重要になっているが、ここでは個人を対象にした利用を重点にする。
MUS(Monthly Active Users、月間アクティブユーザー):SNSや会員制サイトなどで、ある一ヶ月間に一回以上利用した利用者数
- 通常のWebページとブログページの違い
Webページとブログページには本質的な違いはない。ブログでもHTMLやJavascriptにより記述されている。ブログで制限があるのは、ブログ運営者の都合やブログツールとの整合性保持に起因するものである。
ブログは簡易Webページだといえる。HTMLやJavascriptの文法を知らなくても、ブログツールが提供するテンプレートや機能を用いることにより、標準的なブログページが作れる。Webページ作成でも同様なツールがあるが、ブログツールのほうが容易なのが一般的である。
ブログツールではカレンダを用いた時系列な記事の管理機能、閲覧者からの投稿を容易にするトラックバック機能などが標準提供されている。アクセス状況の把握、分類キーワードの設定など、サイト運用の機能も提供されている。
インターネットプロバイダの多くは、Webサイトやブログサイトのためのサーバの容量を無料提供しているが、ブログサイトのほうを重視していることが多い。
- ブログとSNSの違い
ブログは自由参加であり、ブログに公開した記事は誰でも閲覧できるし、検索エンジンの検索対象になる。それに対してSNSは、参加を認められた会員だけが閲覧や発言ができるし、検索エンジンの対象にならない。
これがブログとSNSの基本的な違いであるが、ブログの場合でも、閲覧や書込みに条件を付けることができ、不特定多数には公開しないことができる。SNSへの参加には会員の紹介を求めるなど厳しい条件を設けるものもあるが、利用者が一方的に登録するだけで会員になることができるものもある。
ブログはWebサイトと同様に個人が自由に開設できるのに対して、SNSは運営プロバイダが存在するという違いがある。しかし、通常では個人がブログサイトを開設するには、インターネットプロバイダが用意する環境に開設するので、インターネットプロバイダのSNSに間借りしているともいえる。
このように、現実にはブログとSNSとの境界を明確にするのは困難である。
さらには、SNS(Social Network Service)を文字通り「社会に開かれたネットワークサービス」と広義に解釈することもあり、その場合はブログもSNSに入る。
それで、ここでは両者を混同している場合がある。
CGM前史
パソコン通信
インターネット以前の1980年代にパソコン通信が普及していた。米国では1979年にCompuServeがサービスを開始した。日本では、1980年代後半に広く普及した。
1985年 アスキー「ASCII-NET」
1986年 NEC「PC-VAN」
1987年 ニフティ「Nifty-Serve」
ここでは、現在のCGMのように利用が活発に行われていた。
それは一般にフォーラム(会議室)と呼ばれた。有志の会員が発起人となり、限定された会員が自由に発言できる場である。参加資格を厳しく限定するフォーラムもあれば、加入者であれば自由に参加できるフォーラムもあった。学術的な討論、友人たちとの連絡、個人的な意見や日記などの公開など目的も多様だった。
プロバイダ加入者内に限定されたものではあったが、現在のブログやSNSに相当する利用がかなり活発に行われいたのである。
初期Webサイトでの利用
日本では「ブログ」が定着する以前に「個人ニュースサイト」というWebサイトが広まった。新聞社のニュースサイトとは異なり、ゲームソフトの新着情報や攻略法など、サイト運営者が興味をもつサイトへのリンクや自分のコメントを付けるサイトである。
多数のニュースサイトが続出したが、有名なのに1998年開設の「SMALLNEWS!」がある。「エミュレータからコンビニのお菓子まで」取り上げる幅広い内容とスタイルは、のちの個人ニュースサイトに大きな影響を与えた。
なかには、掲示板を主体にし、多くのユーザーが集う掲示板コミュニティとした個人Webサイトもあった。有名な「2ちゃんねる」も掲示板コミュニティから発展したものである。しかし、「2ちゃんねる」はログインする仕組みがないし、友だち(フォロワー)のような人と人とのつながりの仕組みもないことから、ここではSNSに含まないとした。
さらにインターネットが普及してくると、インターネットプロバイダは個人利用者にWebサイト開設サービスを開始した。その一環として、Webサイト開発ツールを提供したが、そのなかに簡易なBSS機能を提供することが多かった。
Webページに「作者へのメッセージ」などの投稿機能を埋め込み、それを表示したり管理したりする機能である。現在のブログでのトラックバック機能と似たようなものであった。
当初の個人Webサイトでは、専門的な研究内容の発表などが多かったが、普及するのに伴い、現在のブログのように、日常感じたことなどを日記風に掲げるサイトも多くなった。
携帯電話でのショートメッセージサービス
携帯電話が第2世代のデジタル化になったのは、日本では1990年代であるが、欧州では1982年にその規格であるGSM (Groupe Speciale Mobile)の策定が開始され、1987年に採択された。デジタル化により文字の伝送が可能になった(電子メール)。
1984年、マッコネン(Matti Makkonen)は、GMS携帯電話サービスのひとつとしてショートメッセージサービス(short message service、SMS)を発案した。これはその後、欧州電気通信標準化協会 (ETSI) が国際標準規格に採用した。
ブログの歴史
- 最初のブログ
Webページにブログ的な利用をすることの利点は、すでに1992年に、WWWの開発者であるバーナーズ・リー(TimBernersLee)が提唱し実行したといわれる。
1996年に、「WIRED」誌編集者であるデイブ・ワイナー(Dave Winer)が、通信品位法に反対して「24時間デモクラシー」という企画で、意見を日々更新するサイトを掲げたのが大きな反響を呼んだ。これがブログの最初だともいわれる。
- ブログ(blog)の命名者
1997年に、ジョン・バーガー(Jorn Barger)は、自分がWebサイトを閲覧した記録(log)を日記的に記録することを「weblog」と命名したのが最初で、それが簡略されてブログ(blog)になったのだという(1999年、メルホルツ(Peter Merholz)によるといわれている)。
すなわち、ブログは個人的なURLリンク集だったのだ。
- ブログ=日記?
1999年、イートン(Brigitte Eaton)は、彼女の知っているweblogを集めたポータルサイトを開設した。このポータルサイトは網羅性が高く検索もしやすかったので、大いに利用された。
イートンは「そのサイトが日付のある記事で構成されているかどうか」をブログサイトの基準とした。これで「ブログ=日記」という思い込みが定着したのだといわれている。
- ブログ開設環境の整備
従来の掲示板では、サイト運営には費用も技術力も必要としたので、それを開設する人(ブロガー)は少数だった。それに対して、現在のブログでは、プロバイダがサーバ資源を無料サービスし、平易なブログ構築ツール、過去ログ処理やページ分割などのツールを提供しているので、ブロガーが不特定多数になった。
1999年にパイラ・ラブス(Pyra Labs)社は、世界で最もポピュラーとなるブログサービス「blogger」を開始した。blogger開発の中心は、その後Twitterの開発をしたエヴァン・ウィリアムズ(Evan Williams)である。
なお、2003年にパイラ・ラブズはグーグルに買収された。
1999年、ワイナー(Dave Winer)の「Edit This Page」、キャンベル(Jeff A.Campbell)の「Velocinews」など、ブログ開設の無料サービスが行われた。これに多くのインターネットプロバイダが追従し、現在ではインターネット接続サービスに加入すると、ブログ開設の無料サービスが受けられるのが通常になっている。
- トラックバック機能の始まり
ブログの特徴にトラックバック機能がある。2002年、シックス・アパート(Six Apart)社(現Say Media)が Movable Type 2.2 で提供したのが始まりだとされている。現在はこの方法はGPLライセンスになっている。
- ブログの日本上陸
日本では個人ニュースサイトが自然にブログ(SNS)に移行したものが多く、ブログがいつ日本で始まったかを明確に特定するのは困難である。1999年代末から2000年代初頭にかけて、多くの紹介が行われたので、「ブログ」という言葉が認識されるようになったのがこの時期だといえる。
2003年、ニフティがレンタルブログサービス「ココログ」を開始した。ニフティはパソコン通信のフォーラム時代から多くの情報発信利用者をもっていたし、日本最大のインターネット加入者をもっていたので、これによりブロガーが急激に増加した。
- 世界最大のブログ国へ
米テクノラティ(Technorati)社の調査によると、2006年2第4四半期におけるブログ投稿数の言語別割合は、日本語37%、英語36%、中国語8%であった。世界標準語である英語や、母語人口で世界最多の中国語よりも多い状況になったのである(その後、中国が急速に増大してトップになったが)。
SNS(Social Networking Service)
SNSの定義
SNSの厳密な定義を私は知らない。ここでは、次のようなサービスがあるものをSNSであるとした。
- 当該SNSの会員になるには、SNS運営者が定めた規約に合致した人が登録申請し、承認を得る必要がある。
- 運営者が管理するサイトに、会員が投稿した情報(メッセージや写真など)を会員内で共有する。会員は共有情報を閲覧したり、コメントしたりできる。
- 通常は、投稿者は閲覧者(共有範囲)を設定できる。その閲覧者を「友達」とか「フォロワー」という。
SNSの種類
- 組織内SNS:企業が従業員を対象に、情報の相互交流、親睦のために設置するSNSなど
- 関係者向けSNS:企業が顧客向け、自治体が住民向けなど、運営者からの情報提供と利用者からの意見入手を目的に設置したSNS
- 商用SNS:サイト内での広告掲載による収入などを目的に、不特定多数を会員にしてアクセス数を増大させることを目的にしたSNS
ここでは、商用SNSを対象にする。一般には、登録や基本的なサービスの利用を無料としているが、一部の機能を有料で提供しているサービスもある。
YouTubeのように動画を対象としたものを動画共有サイトというが、ここではそれもSNSという。
多くの商用SNSでは、単に情報の共有サービスだけでなく、運営者が企画した情報(ゲームや写真、動画など)の配信サービスをしている。
ここでは、日本で普及している大規模な商用SNSを対象とする。
歴史
発表年。当時の組織名、氏名は発案者あるいは開発・推進者。日本上陸とは日本語対応あるいは日本支社設立年
- 2004年 mixi。株式会社ミクシィ(日)笠原健治
- 2004年 MSN Spaces。マイクロソフトに日本数社が協力
- 2004年 Facebook。Facebook社(米)マーク・ザッカーバーグ。2008年に日本上陸
- 2005年 Twitter。Odeo社(米)エヴァン・ウィリアムズ、ジャック・ドーシー、ビズ・ストーン、ノア・グラス。2008年に日本上陸
- 2005年 YouTube。YouTube社(米)チャド・ハーリー、スティーブ・チェン、ジョード・カリム。2007年に日本語対応
- 2006年 ニコニコ動画。株式会社ニワンゴ(日)中野真、戀塚昭彦
- 2010年 Instagram。Instagram社(米)ケヴィン・シストロム、マイク・クリーガー。2011年に日本上陸
- 2011年 Google+。Google社(米)。日本上陸も2011年
- 2011年 LINE。NHN Japan(韓国NEVER社の日本子会社)李海珍
ランキング(2010年代後半当時)
個別SNSサイトの歴史
- 2000年 笠原健治が「イー・マーキュリー」として設立。当初は求人サイト
- 2004年 mixiサービスを開始
- 2006年 社名をミクシィに変更、東証マザーズに上場。
- 2006年 メールアドレスをパソコン限定から携帯電話にも可能に
- 2008年 年齢制限を18歳から15歳に引き下げ
- 2010年 登録制開始、既会員の紹介が不要に
- 2010年 有効ID数が2000万人を超えた。
- 2013年 スマートフォンゲームアプリ「モンスターストライク」開始
日本での元祖SNSといえる存在であり、世界的にも初期に開始した大規模なSNSである。
当初は、既登録ユーザの招待を受けないと利用登録ができない招待制を採用していた。この方式は、健全で安心感が持てるため、それを重視する健全な会員が得られた。当時の日本でのSNSスタンダードを築いたといえる。現在でも、根強いメンバーをもつ。
反面、登録手続きが面倒なことから、新規会員数の増加は限定的になった。しかも、2008年頃からFacebookの日本上陸の影響を受けるようになり、その後、加入条件が緩和の一途をたどる。
Microsoft
- 2004年 MSN Spaces
Microsoftのブログサービスは日本から始まった。ティー・オー・エス(東京電力を親会社とするCATV「Tepco」運営会社)との連携で運営した。ブログ用の無料スペースが提供された。
- 2006年 Windows Live Spaces
Windows Live の一つとして位置付けられた。携帯電話やスマートフォンとの連携が強化された。しかし、WindowsのシェアがSpacesに与える効果は相対的に少ない状況だった。
- 2011年 Windows Live Spacesサービス完了
WordPress.comとパートナーシップを結び、ブログサービスを移管
- 2004年 Facebook設立
ハーバード大学の学生だったザッカーバーグ(Mark Zuckerberg)が、同大学の学生同士のインターネットコミュニティとしてFacebookを設立したのが起源。その後、他の大学間に広がる。有限会社としてFacebook社登録
- 2006年 一般開放され、世界中の誰もが利用できるようになった。
- 2008年 日本語化の推進
ボランティア利用者によって日本語化が進められていたが、2008年にマーク・ザッカーバーグが来日したのを機に一般公開された。
- 2008年 FacebookのAPIをオープンソース化
- 2009年 世界最大のSNSに(MySpaceが先行していた)
- 2010年 日本支社設立
- 2011年 文字数制限解除
2009年までは最大文字数が160文字までであったが、その後逐次拡大し、2011年には6万字となり事実上制限がなくなった。
- 2021年 社名を「Meta」へ変更。SNSである「Facebook」の名称はそのまま継続
世界最大の利用者をもつSNSである。日本ではLINEが最大で2位になっている。
- 実名登録制
他のSNSに比較して実名登録が厳しい。匿名やハンドル名を禁止し実名制をとっている。実名を保証する手段を講じていないため、その信頼性は低いのだが、Facebookでは実名登録を強く推奨しており、実際にそうしている利用者が多いといわれている。
Facebookは情報共有にも厳格である。あらかじめ相手と「友達」になり、友達にならないと情報を得られない(限定された情報しか得られない)仕組みになっている。
- ジャスミン革命とFacebook
2010年~2011年、チュニジアで発生した独裁政権打倒運動は多くのイスラム圏に波及してジャスミン革命と呼ばれた。この運動での情報交換のためにFacebookが大きな役割を果たし「Facebook革命」とすらいわれた。これは全世界でFacebookの認知度を高めた。
- 日本での低調と普及
Facebookは世界での普及に比較して、日本の利用者は少なかった。その理由として、当初日本語のサービスが極端に少なかったこと、英語版のレイアウトを日本語版がリアルタイムで反映しなかったことが挙げられるが、Facebookのアカウントは実名と本人の顔写真、実社会でのプロフィールの登録が義務づけられており、それが日本人の性格に合わなかったのだという説もある。
その後次第に利用者が増加してきた。特にジャスミン革命の報道がFacebookへの関心や共感を得て、急速に普及した。2010年末で約300万人だったのが、2011年9月には1000万人を超え、2015年末には2500万人になったという。
- Facebookの市場価値
2007年、マイクロソフトがFacebookに2.4億ドルを出資し、同社の株式1.6%を取得した。時価総額を150億ドルと評価したことになる。
世界時価総額ランキングによれば、2017年10月のFacebook社の時価総額は、5,229億ドルで世界第5位だったという。
なお、中国Hurunの世界長者番付2016年によれば、ザッカーバーグの資産総額は470億ドル(約5兆円)に達したという(1位はビル・ゲイツ、800憶ドル)。
- 2006年 Twitterを発表
2006年にOdeo社がTwitterを発表した。Odeo社はBloggerの創業者であるEvan Williamsの起こしたベンチャー企業。Twitterの発表後Twitter社と改称、Odeoは事業名となる。
- 2008年 Twitter日本上陸
Twitter社は、株式会社デジタルガレージ(日本)と資本・業務提携をして、日本にTwitter.jpを開設。日本語版が利用可能
- 2010年 スマートフォンアプリ無料配布
Twitter for BlackBerry、Twitter for Android、Twitter for Androidなど。現在では携帯電話(フィーチャーフォン)では利用できなくなった。
- 2010年頃 日本での急成長
パリのアナリスト・グループSemiocastによれば、2010年6月の投稿数は、米国が1位で25%、日本が2位で18%だったという。
米国のネットレイティングス社によれば、2010年6月での実利用者数は日本が米国を抜いたという。
2011年の東日本大震災以降、急速に増加し、2011年10月ニールセン調査では1,400万人に達したといわれている。
単に利用度が高いだけでなく、日本の多機能志向がグループ機能を強化したともいわれている。
- 2015年 ダイレクトメッセージの文字制限解除
ツイートはフォローの閲覧を目的とした投稿、ダイレクトメッセージとは相手を特定した電子メール。ダイレクトメッセージには140字制限などや多様な制限をを解除・緩和した。
- 2022年 イーロン・マスク、Twitterを買収、X社と社名変更・。サービス名としてのTwitterも「X」となった。
この買収にあたっては、Twitterとマスクの間でいざこざがあったこと、買収後のマスクの強引な方針転換などが大きな話題になった。
twitterは「つぶやき」の意。ツイートと呼ばれる140文字以内(ダイレクトメッセージでは制限緩和されている)の短文・画像・動画を投稿・共有できるSNS。
(Twitter社自身は「社会的な要素を備えたコミュニケーションネットワーク」「インタレスト(興味)・ネットワーキング・サービス」であると定義してSNSではないとしているが、一般にはSNSとして認識されている。)
操作が簡単で、短文で投稿できるため、いつでも気軽に、思ったことをつぶやけるので、リアルタイム性が高い。今自分が体験している事や皆んなに知らせたい事をメモと写真や動画で投稿する目的で利用されることが多い。その例として、レストランでの料理や自分が調理した料理をスマートフォンで撮影し投稿するような風潮がある。
また閲覧者がさらに自分の友達に知らせるリツイート機能がある。それによる情報拡散もされやすい。
実名登録の規定はない。有名人やビジネス利用では実名で登録し投稿しているが、ほとんどの人はハンドル名(ニックネーム)を用いており、匿名性が高い。
- 2010年 AppStoreにてリリース
Instagramは、ケヴィン・シストロムとマイク・クリーガーにより開発された写真共有に特化したSNS。
同年末(2が月後)に日本語対応
- 2011年 ハッシュタグ機能導入。写真探しが容易に
- 2012年 Android版リリース
- 2012年 Facebook社により買収される。Instagram事業は独立して運営される。
- 2012年 PC版リリース。閲覧やコメントのやりとりが容易に
- 2013年 ビデオ機能搭載
- 2013年 ダイレクト機能追加。特定の個人やグループと共有
- 2015年 画像編集アプリ「Layout」iOS版リリース
- 2017年 複数投稿機能。複数の写真・動画を1投稿で同時にシェアできる
Instagramの名称は、インスタマチックとポラロイドというカメラ名を合成したもの。カメラ内に現像機能をもち撮影直後に写真が出てくるので、撮影した場で仲間が写真を楽しむことができた。Instagramは、そのインターネット版で、写真の共有に特化したSNSである。ポラロイドなどへの敬意からか、フレームサイズを正方形にしている。
自分が撮った写真や短い動画(60秒、音声つき)をコメントを添えて投稿する。不特定のメンバがそれらを閲覧、シェアできでき「いいね」やコメントを追加できる。
Instagramアプリには、画像や動画を投稿する際に写真加工ができる、ハッシュタグを使用して関連付けができるなどの機能をもつ。
Twitterが文章を主にしたリアルタイム性を重視しているのに対し、Instagramは写真を主に編集・加工を重視しているようである。投稿する写真の見栄えの良さを意味する「インスタ映え」は2017年の流行語大賞になった。
Instagramは匿名性が高い。Instagramアプリをインストールしてアカウントを得るが、ハンドルネームだけで実名登録の必要はない。アカウントを得るためにメールアドレスを知らせる必要があるが、メールアドレスだけが本人確認の手段である。
逆に、Instagramでは、スマートフォンの連絡帳に登録している電話番号やメールアドレスから、ユーザー検索をすることができる。そのため、意図していない相手に検索されることがある。
- 1998年 Google社設立。創立者はラリー・ペイジとサーゲイ・ブリン
- 2001年 日本法人、グーグル合同会社(Google Japan)設立
- 2005年 米Android社買収
スマートフォンOSのAndroidは、オープンソースとして規格団体OHAに移管
- 2007年 YouTube社買収(16.5億ドル、約2千億円)。YouTubeの名称は残した
- 2011年 Google+開始
当初は招待制による試験運用という形で開始されたが、開始3週間で2000万人に達したという。すぐに一般公開され、すべての人が登録可能となる。
- 2012年 利用可能年齢が18歳以上から13歳以上に引き下げられる
- 2012年 ハングアウト一般公開
ハングアウトはメッセージングアプリ。テキストメッセージのやりとりや、SMSの送受信、音声通話、ビデオチャットなど、様々なコミュニケーションツールが一括で管理する機能。Google+とは別のアプリだが、LINEと類似な機能になる。
- 2013年 Googleアカウント
一つのパスワード(アカウント)で多様なアプリ(サービス)にサインインすることができる。Google+の管理や操作が容易になる。
Googleは、検索エンジン以外に、Gmail(電子メール)、GooleMaps(地図)、GoogleDrive(クラウドストレージ)など多くのサービスをしているが、SNSサービスがGoogle+である。
- 実名制と公開範囲
Facebookが閲覧者を厳しく制約しているのに対して、Google+は通常のTwitterのようにフォローになれば閲覧できる。しかし、Twitterと比較して、公開範囲をきめ細かく指定できるようになっている(サークルなどの機能)。
全般にGoogle+は多様な小さなグループ間での情報共有を意図しているようである。
- 特色のある機能
自動検索機能であるSpeaks、ボイス&ビデオが使用できるビデオチャットルームなど、Googleの多様なサービスを利用した機能を提供する。
- 利用の低迷
多様なサービスを提供しているGoogle社のSNSとしては、出遅れたためか、世界での日本でも大きなシェアを獲得していない。しかし、Google社はYouTubeをもっており、YouTubeは動画対象SNSでは圧倒的なシェアを持っている。
- 1999年 李海珍らが韓国法人NAVER設立
- 2001年 NAVERの日本法人子会社ハンゲームジャパン設立
- 2003年 NAVER、ハンゲームジャパンを吸収してNHNに。日本支社NHN Japanを設立
- 2010年 ポータルサイト運営会社ライブドアを完全子会社化
- 2011年 李海珍がLINEを発案。NHN Japanで開発し、同年LINEをリリース
- 2012年 キュレーションサービス「NEVERまとめ」サービス開始
- 2013年 NAVER子会社として日本法人LINE株式会社設立、LINE事業を行う。
- 2016年 LINE、東京・ニューヨークで同時上場
2017年現在、国内最大の利用者をもつSNSである。日本の利用者ニーズに合致しており、サービス開始後、急速に利用者が増大した。
- LINEの開発者
LINEの発案者は韓国人の李海珍。韓国NEVER社の子会社である日本法人のNHN Japanで、日本・韓国の技術者により開発。それで「準国産SNS」といわれている。
- LINEの機能
通話やメールが無料。タイムラインによる近況報告
ニュース、占い、バイト探しなどのサービスが豊富
特に絵文字が豊富なのが特徴
- 匿名性が高い
LINEアプリをインストール、「Facebookのアカウント」あるいは「電話番号」で申請、それだけが本人認証手段。ハンドルネームだけで実名登録の必要はない。未成年利用者へのフィルタリングのため、年齢確認があるが、オプションだし年齢を確認する手段はない。
- 日本での普及
LINEは、特に日本での普及が急激で、後発であるにもかかわらず急速に普及した。次のような理由により、特に学生・生徒など若者のスマートフォンにはLINEアプリがインストールされているのが当然のようになってきた。
・スマートフォンの普及時期と一致
・LINEメンバ間では電話・メールが無料。利便性のため仲間間での加入誘致
・占いやバイト探しのサービス、特に絵文字が豊富なことが若者行動に合致
代表的な動画共有サイト
動画投稿・シェアの機能は、多くのSNSがサービスしているが、それに特化したものを動画共有サイトという。世界的な代表的サイトにYoutube、日本の有名サイトにニコニコ動画がある。
- 2005年 チャド・ハーリー、スティーブ・チェン、ジョード・カリム、YouTube社設立、サービス開始
- 2006年 Google社による買収。YouTubeブランドは名称維持。日本ではGoogle Japan社が運営
- 2006年 日本の著作権団体が違法動画の削除要請
- 2007年 日本語対応
- 2011年 YouTube Live(動画のライブストリーミングサービス)開始
- 2013年 スマートフォンでのオフライン再生
- YouTubeの投稿・閲覧
YouTubeに投稿するにはアカウントを得る必要があるが、Googleアカウントが使えるので、それを用いて「マイチャンネル」を設定し、そこに投稿する。投稿された動画は、年齢制限や有料のものを除き、誰でも視聴することができる。
- YouTubeの機能
投稿された動画は、Flash形式に変換されて保管。Webブラウザで閲覧でき、PCやスマートフォンの機種やOSに依存しない。
動画再生のAPIが提供されており、多様なWebコンテンツを作成できる。
閲覧者はタグと呼ばれるメタデータによってキーワード検索が可能。評価やコメントを追加できる。ダウンロードも可能
- YouTubeの普及
公開から一年あまりで、1日当たりの利用回数が1億を突破したといわれている。日本でも、言語を意識しない動画が対象であることから、日本語版が提供される以前から多くの利用があった。現在では、世界でも日本でも、圧倒的なシェアを維持している。
- YouTubeを利用した違法問題
TVで録画した映像などを投稿する著作権違法行為が存在する。しかも違法映像がダウンロードやコピーにより拡散するので、大きな問題になる。YouTubeは、違法映像を削除しているが、あまりにも膨大な投稿があり対処しきれないのが実態であり、発見し削除する以前に拡散してしまうこともある。
YouTubeは、バナー広告で利益を出している。投稿者もそれによる収入がある(AdSense)。収入目的でヒット率の高い違法映像や扇情的な映像を投稿する行為もある。また、そのバナー広告のなかには、マルウェアをもったものもある。
このような違法問題は、多くのSNSに共通した問題であるが、著作権意識の高い動画が主であること、利用者が非常に多いことから、YouTubeが話題になることが多い。
YouTubeでは、投稿できる動画の長さを制限したり、有料のチャネルを設けるなどの対策をしている。法的にもダウンロードを制限することが検討されている。
- 1997年 川上量生、ロバート・ハントレィ、森栄樹、株式会社ドワンゴ設立
コンピュータゲームネットワークの接続サービスが主事業
- 2005年 西村博之、株式会社ニワンゴ設立
各種コンテンツを携帯電話メールを通して一般ユーザーへ供給するサービスが主事業
- 2006年 ニコニコ動画(β版)開始
中野真がプロトタイプ作成。戀塚昭彦が基本システム開発
- 2007年 SMILEVIDEO(自前の動画投稿サイト)開始
- 2007年 ニコニコ生放送開始
- 2008年 仮想通貨(ニコニコ内の有料サービスだけに使える)開始
- 2012年 サービス総称を「niconico」に改称
動画以外のサービスの比重が大きくなったため
- 2014年 カドカワ株式会社、ドワンゴを完全子会社化
- 2015年 ドワンゴがニワンゴを完全子会社化
niconicoは、カドカワ子会社のドワンゴが運営している。
- 初期のニコニコ動画
β版では、ニコニコ動画自体は動画アップロード機能をもたず、YouTubeなどに投稿された動画を閲覧するだけだった。YouTubeがニコニコ動画経由のアクセスがあまりにも多いことから、アクセスを遮断したので、2007年にSMILEVIDEOを開設した。
SMILEVIDEOは、ニコニコ動画専用の動画投稿サイトで、そのサイト自体には動画視聴機能をもたず、投稿された動画は自動的にニコニコ動画に登録されるシステムとなっていた。
その後、ニコニコ動画上の「ニコニコマイページ」に統合された。
- ニコニコ動画の特徴
投稿者や閲覧者は、動画再生中にコメントを投稿できる。それにより、解説や感想つきの動画になる。
Webブラウザの「お気に入り」に相当する「マイリスト」があり、それを公開することもできる。
投稿された動画には、その動画をマイリストに登録した人数、再生回数、コメント数などが表示され、ランキングされる。
- ニコニコ生放送
ニコニコ生放送は、インターネットを介したライブストリーミング放送である。、配信者がリアルタイムで映像を流し、視聴者はその放送中にニコニコ動画同様に閲覧し、コメントをつけることができる。そのコメントは配信者にリアルタイムで届くので、配信者と視聴者との相互交流ができる。
配信内容では、コンサートや講演・対談、競馬中継など多様である。特殊な例に政治分野がある。現在、国会議員をもつほとんどの政党が公式チャンネルを開設しており、情宣活動を展開している。また、その視聴率などを分析して、内閣支持率・政党支持率調査を行ったり、国政選挙の当日に「ネット出口調査」を行ったりしている。
- サービスの多角化
ニコニコ動画は、単に動画共有サイトだけでなく、ニコニコ生放送をはじめ、ゲーム、映画、音楽、テレビ見逃し配信、コミュニティサロンなど多様なサービスを展開した。
むしろ、これらの利用が多くなったので、サービス総称を「niconico」に改称した。正式名称は「niconico動画」「niconico生放送」となる。
ニコニコの主な収入源は、バナー広告やフィリエイト広告などの広告収入、映画の短編ムービーなど映画配給会社からの収入、プレミアム会員料などである。
- ニコニコの会員登録
無料の一般会員と有料のプレミアム会員がある。一般会員でも基本的なサービスは受けられるが、プレミアム会員になると、動画の高品質受信、投稿制限の撤廃、有料サービスの利用など多様なサービスが受けられる。
一般会員になるには、ニコニコ動画のトップページへアクセスしてメールアドレスを入力すると、登録確認メールが届く。メールで指定された画面で、ニックネーム、生年月日、性別、県、などの入力が求められるが確認の方法はない。すなわち、メールアドレスだけが本人確認の手段になる。
プレミアム会員になるには、引落のクレジット番号を入力する必要があるが、名義人を知らせる必要はない。/li>
- 会員数の推移
ニコニコ生放送をはじめ多様なサービスが受け入れられ、多数の利用者を獲得した。しかし、ニコニコ動画は、YouTubeの普及におされて低迷している。会員数は2015年をピークに減少傾向になった。
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