製造物責任法とは
PL(product liability)法ともいいます。消費者保護に関する法律の一つです。
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H06/H06HO085.html
(目的)第一条
この法律は、製造物の欠陥により人の生命、身体又は財産に係る被害が生じた場合における製造業者等の損害賠償の責任について定めることにより、被害者の保護を図り、もって国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。
TVが火を噴いて大怪我をした場合を例にします。民法では販売した小売店に売主瑕疵担保責任があると認められることがありますが、TVそのものの欠陥が小売店の責任だとすることは稀であり、責任があったとしても法律的な賠償責任はせいぜいTVの代金程度です。
それに対して製造物責任法では、消費者は直接にメーカーに対して、大怪我による損害までも賠償責任を追求できることを定めています。
エレベータ事故で人的被害が発生し、その原因がエレベータの欠陥にあった場合なども製造物責任法によりメーカーの責任となります。この場合、被害者およびビル管理者が損害を請求できます。
製造物責任法の対象と欠陥の判断
- 「製造物」とは
「製造又は加工された動産」であり、一般的には,大量生産・大量消費される工業製品を中心とした,人為的な操作や処理がなされ,引き渡された動産-TVや自動車など-が対象です。
不動産,未加工農林畜水産物,電気,ソフトウェアなどは対象になりません。
- 「欠陥」とは
製造物が通常有すべき安全性を欠いていることをいいます。安全性にかかわらない単なる品質上の不具合はここでの欠陥にはなりません。また、「人の生命、身体又は財産に係る被害」を与える重大な事故が対象ですので、TVが映らなくなるとは画像が乱れるような事故は対象にはなりません(民法での瑕疵担保責任に該当)。
- 欠陥の判断
これは、個々のケースにより異なるので一概には決められません。この法律では,共通性,重要性,両当事者に中立的な表現ということを念頭に,「製造物の特性」,「通常予見される使用形態」及び「製造業者等が当該製造物を引き渡した時期」の3つを掲げています。
例えば,取扱説明書に従った使い方をしていても事故が発生した場合は「欠陥がある」と判断されます。表示や取扱説明書中に,事故を回避するための指示や警告が適切に示されていないと「欠陥がある」と判断されることがあります。逆に、常識では考えられないような誤使用(異常な使用)によって事故が生じた場合には「欠陥はない」と判断されることがあります。
- 無過失責任
欠陥のなかには、メーカーがそのような事故が発生すると予見できない、あるいは、回避する手段がないなど、メーカーの過失とはいえないものもあります。また、その製造物に関する素人の消費者がメーカーに過失があったかどうかを立証するのは困難です。製造物責任法では、このような場合もメーカーの責任であり、消費者は立証の義務はないとしています。このように、損害の発生について製造者の過失の有無にかかわらず損害賠償責任を負わせることを無過失責任といいます。