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電子行政推進に関する基本方針


電子行政推進に関する基本方針(2011年)IT戦略本部決定

http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/pdf/110803_denshi.pdf

「新たな情報通信技術戦略」(2010年)の大きな柱の一つとして「国民本位の電子行政の実現」を重視しています。それを踏まえて、電子行政の推進理念を抜本的に見直そうとする提言です。

第1 電子行政推進の意義
  • 情報通信技術は、現代国家の行政運営に不可欠なインフラである。
    行政の電子化によって、様々な行政サービスの利便性が飛躍的に向上し、国民、企業等の権利の実現や利益の保護が図られる。また、行政事務においても抜本的な効率化が図られるとともに、行政の一層の透明化や国民参加の促進にも大きく寄与する
  • 電子行政の推進により、官民含め我が国の社会・経済全体の活性化が図られ、国際競争力や国際的なプレゼンス等を高めることができる。先進諸国等において電子行政が急速に進展する中、我が国は大きく出遅れている。
  • 単なる電子化ではなく、制度や業務自体の見直しや行政機関間の情報連携の徹底を図る等、電子行政に関する基本的姿勢を転換させ、理念のみでなく実現を図り、国民がその成果を実感できるようにしていく必要がある。
第2 電子行政推進に係る基本的な事項(反省と今後)
  • 電子行政の推進は手段であり目的ではない。利用者の視点に立った取組を進める。
  • 全体像が不明確で総花的なIT投資が見られた。費用対効果の観点からの検討、官民含めたITの全体最適の確保が重要である。
  • 既存のルール・業務プロセスを前提とせず、抜本的なBPRを行う必要がある。国・地方・民間が密接な協力・連携が必要である。これまで、政府において府省横断的に進めていく統率力・調整力、IT投資の全体最適、システムの相互運用性の確保等を図るための体制が不十分だったのではないか。
第3 目指すべき電子行政の姿
上記の基本的な事項により、新しい観点から行政サービスの利便性の向上、行政運営の効率化、国民参加の促進を図る。諸外国の電子行政に関する取組を踏まえつつ、世界においてトップグループに位置づけられる水準の電子行政国家の実現を目指す。
第4 重要施策の推進
IT投資管理を進める必要がある。それには国民ID制度・企業コード、オンライン利用計画、行政サービスへのアクセス向上、オープンガバメントなどの施策を進めべきである。
第5 新たな電子行政の推進体制(政府CIO制度)
第6 基本方針のフォローアップ

「第1 電子行政推進の意義」では、IT戦略本部が設置されたIT基本法成立の背景であった、2000年頃の状況がさらに重大な状況になっていることを示しています。「第2 電子行政推進に係る基本的な事項」では、これまでの電子行政の欠陥を指摘するなど、IT戦略本部の自己批判のような記述があります。

2009年に、自民党から民主党への政権交代があり、「新しいIT戦略」を明確に示す必要があったかととも思われますが、それまでにも、行政と国民との接点である申請・届出等手続きのオンライン利用に関しては批判が多くありました(参照「IT新改革戦略」の「オンライン申請システムへの批判」)。これを是正するには、電子行政を抜本的に方向転換することが重要だと認識したからです。
 これは正当な認識であり、2013年に民主党から自民党に政権復帰がありましたが、自民党政権でもこの路線は引き継がれています。