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EAの発展経緯

キーワード

EA、ザックマン、米国政府のFEAF、業務・システム最適化計画


ザックマンのフレームワーク
ザックマン・フレームワーク  EAの考え方は以前からありました。米国ではEAの議論が1980年代に既に始められており,ザックマン(John A. Zachman)は1987年に「A Framework for Information Systems Architecture」という論文で「ザックマン・フレームワーク」を提唱し,1992年に情報システムだけでなく組織全体を対象とするように概念を拡張しました。これがEAの基本になっています。
 ザックマン・フレームワークは,異なる切り口でみたアーキテクチャの6階層と5W1Hの6×6の表で示されます。ザックマン・フレームワークはわかりやすく汎用性が高いのですが,あまりにも抽象的なので,実際に活用するには具体的な方法論が必要になります。それで多くのフレームワークが作成されています。
米国政府のFEAF
米国および日本での,政府でのEAの取組みの経緯を右表に示します。
 米国では,1996年にIT投資効率管理等にEAの利用を義務付ける「Clinger‐Cohen法」が制定され,TEAF(財務省) ,NIST-EA(米国標準研究所),C41SR(現DODAF)(国防総省)など各省庁でのフレームワークが作られました。そして,1999年に連邦政府はFEAF(Federal Enterprise Architecture Framework)を策定しました。民間のIT標準化団体のオープングループは1995年にTOGAF(the Open Group Architecture Framework)を策定するなど,米国ではEAの実践が進んできました。
日本政府の「業務・システム最適化計画」
日本でも先進企業ではEAに関心を持ち,コンピュータメーカーやコンサルタント会社がEA支援をしていますが,顕著な動きは府庁省での取り組みです。政府はそのEAフレームワークを「業務・システム最適化計画」としています。
2001年12月に「情報システムに係る政府調達関係府庁省連絡会議」が設置されたのを皮切りに,EA導入の検討が続けられました。そして,2003年12月に,ITアソシエイト協議会(現在,「各府庁情報化統括責任者(CIO)連絡会」に改組)は,報告書「業務・システム最適化計画について Ver.1.1 ~EA策定ガイドライン~」を公表しました。米国連邦政府のFEAFを参考にして,日本独自の事情を考慮したものです。単にフレームワークを示すだけでなく,その解説や具体的な策定の手段も示しているのが特徴です。その後,「業務・システム最適化計画策定指針(ガイドライン)」は改訂が続けられ,2006年3月では第6版になっています。

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