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著作権の概要

キーワード

著作権法の目的、著作物、著作権の発生、著作権の有効期間、著作権の侵害


著作権法の目的
著作権法は,「著作者の権利及びこれに隣接する権利を定め,これらの文化的所産の公正な利用に留意しつつ,著作者等の権利の保護を図り,もって文化の発展に寄与することを目的とする(第1条抜粋)」法律です。
 すなわち,文化の発展のためには,他人の著作を活用できる必要があり,そのためには,著作権者などの権利を保護するためのルールが必要になります。そのルールを定めたのが著作権法なのです。
著作物
「著作とは,思想又は感情を創作的に表現したものであって,文芸,学術,美術又は音楽の範囲に属するものをいう。(第2条抜粋)」としています。著作権法では「創作性」が判断基準で,その学術や芸術上の価値を云々していません。メモ書きでも子どもの描いた絵でも立派な著作物です。物理的に残されるものだけでなく、講演や演奏なども対象になります。
 著作権法では「表現」だけが対象になります。したがって,発明に関する論文であっても,その論文の表現だけが保護対象になり,発明の内容そのものは著作権法の保護対象ではありません。発明を保護するのは特許法です。
著作権の発生
著作権は,公表したか否かに関わらず,著作が行なわれた時点で自動的に権利が生じます。著作権に関する国際条約には,万国著作権条約とベルヌ条約があります。万国著作権条約は方式主義で,©マークを表示することにより著作権が生じますが,ベルヌ条約は無方式主義で,著作をした時点で自動的に著作権が生じます。日本は両方の条約に加盟していますので,©マークは必要がないのです。

現在は,ほとんどの国がベルヌ条約に加盟しているので,©マークの必要はないのですが,国内の法律や慣習に違いがあるので,特に著作権を主張したいときには©マークをつけておきましょう。
  Copyright © 2002-2005 Hitoshi Kogure, All rights reserved.
とすると,Hitoshi Kogureが2002年にこの文書を最初に著作し,さらに2005年に修正しており,著作権を主張していることを示します。

著作権の有効期間
一般的には著作権者の死後50年,法人などが著作権者の場合は公表後50年となっています。しかし,映画は公表後70年になっています。(映画の特例)

著作権の有効期間は,次第に延長されてきました。ミッキーマウスの映画の著作権が切れる頃になると米国での著作権延長が話題になるというのですが・・・

著作権の侵害
他人が著作権を侵害したときには,著作権者は,侵害した人に対して掲載の取りやめや損害賠償を要求することができます。逆にいえば法的に訴えることができるのは著作権者だけです。
 場合によっては偶然の一致で他人と同じ著作をすることもあります。著作権は創作性が対象ですから,このような場合は著作権の侵害にはなりません。両者がそれぞれの著作に著作権を持つことになります。
二次的著作物
二次的著作物は「著作物を翻訳し,編曲し,若しくは変形し,又は脚色し,映画化し,その他翻案することにより創作した著作物をいう」(著2条1項11号)と定義されています。すなわち、ある著作物(一次的著作物)をベースに作成された著作物です。
二次的著作をするには、一次的著作権者の承諾が必要です。二次的著作物の著作権は、一次的著作物の部分は一次的著作者、追加した部分は二次的著作者に帰属します。
そのため、一次的著作物の部分の著作権は消滅しますが、追加した部分の著作権は残ることになります。

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