【原理原則14】 「今と同じ」という要件定義はありえない

【基本的な考え方】
 「今のシステムと同じでよい」という要件定義は、トラブルの元です。
 「同じ」という言い方が正しく伝わるのは、具体的なプログラム、コード体系、テーブルなどそのとき存在する個別の形を持ったものについです。実現機能レベルで同じと言う言葉を乱発しないようにしたいものです。
 「今と同じ」でも要件定義は必要です。そもそも同じでよいなら再構築する必要はありません。よくないから再構築するというところから発想したいものです。
 現行システムの調査をする場合は、システムの機能を洗い上げ、新システムの実像を明確にするだけでは不十分です。現行システムをどう使っているか、という点から調査しなければなりません。例えば、データの再利用、アウトプットの二次加工、客先提供などの使われ方について調べて把握しないと、新システムの機能は不十分なものになってしまう可能性があります。
 受注者は、発注者の「今と同じ」という要件を、そのまま受け入れてはいけません。
 「そもそも今の要件はどうなっているか」を問い直し、場合によっては具体的な要件にまで導くことも必要です。
【行動規範】
・発注者は、現行システムと同じ機能の実現であっても、要件定義を実施する。
・発注者は、既存機能を見て要件とするのではなく、使われ方まで十分調査し、要件とする。
・受注者は、「今と同じ」要件を具体要件まで問い直す。