【原理原則5】 多段階の見積りは双方のリスクを低減する

【基本的な考え方】
 開発プロセスのどの段階での要件仕様かによって、その固まり度合いや、見積り対象の深さなどに違いが出てきます。超上流での見積り内容は、仮試算、試算、概算レベルであり、システム設計に入って、確定となります。
 にもかかわらず、あいまいさがある段階での見積りが最後まで開発側(情報システム部門、ベンダ)の束縛になってプロジェクト成功の阻害要因になっている現状があります。
 不確定要素が多い中での見積りをプロジェクトの目標値として設定すべきではありません。
 あいまいさがある段階の見積りを、はっきりした段階で見積り直せるルールづくりなどがプロジェクト成功の鍵となります。
 要件の不確定さやプロジェクトの特性・リスクに応じて、適切な契約方式(多段階契約、インセンティブ付契約など)を選択することにより、発注者・受注者の双方にメリットが生まれます。
 また、非機能要件に対する見積り技術が確立していないため、発注側が一方的に要求を提示しても、要件定義段階では、受注側も保証できないものもあります。
 多段階とは、受注先をその都度変えるということではなく、固まり具合に応じて見積り精度をあげていこうということです。
【行動規範】
・発注者は、事業リスクを低減するためにも、多段階見積もりを活用する。
・受注者は、見積りリスク回避のため多段階契約を活用する。
・受注者は、要件定義段階では非機能要件に保証できないものがあることを説明する。