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論理演算と集合演算

キーワード

論理演算、ベン図、真理値表、否定、論理和、論理積、排他的論理和、交換則、結合則、分配則、吸収則、ド・モルガンの公式、集合演算、要素、元、外延的定義、内包的定義、補集合、積集合、差集合、直積


論理演算

1と0、真と偽、ON/OFFのように2つの状態だけをとることのできる数を論理数といい、論理数の間の演算を論理演算(プール代数ともいう)といいます。
論理演算を理解するには、図表が役に立ちます。代表的な図にベン図、表に真理値表があります。

論理演算子

否定
論理積
論理和
排他的論理和

論理演算の基本公式

Aとの演算
A×A=A
A+A=A
A×=0
A+=1
0,1との演算
A×0=0
A×1=A
A+0=A
A+1=1
交換則
A×B=B×A
A+B=B+A
結合則
(A×B)×C=A×(B×C)


(A+B)+C=A+(B+C)

分配則
A×(B+C)=(A×B)+(A×C)
  

A+(B×C)=(A+B)×(A+C)
  

吸収則
A+(A×B)=A 証明:A+(A×B)=A×(1+B)=A×1=A
A×(A+B)=A 証明:A×(A+B)=A×A+A×B=A×(1+B)=A
ド・モルガンの公式
A×B
A+B×

集合演算

関係記号意味例示
>恒等関係 A=B AとBは同じ元からなる A={2,4}、B={2,4}のとき、
A=Bが成立する
包含関係 A⊂B Aの全元はBに存在する
AはBの部分集合である
A={2,4}、B={1,2,3,4,5}のとき
A⊂Bが成立する

A⊂BとA=Bを合わせて、A⊆B と書きます。

論理演算と集合演算

論理演算での変数は論理変数で、Aは0と1の二値をとります。それでA+は「AあるいはAでない確率」であり1になります。
 それに対して、集合演算での変数はリストで、A={2、6、4}のような任意の個数の要素を持ちます。それで対象とする空間が自然数だとすれば、A+は「AあるいはAでない自然数の集合」となります。

このような違いはありますが、「Aが1であり、かつ、Bが1である確率はA×B(理論積)」と「ある要素がAにあり、かつ、Bにもある要素はA∩B(積集合)」の対比や、どちらもAとBの順序を変えても等価であるとの交換則が成立するなど、共通する数学的方法が多くあります。
   論理演算   集合演算
    0     φ(空集合)
    1     (全体集合)
   否定()  補集合(
   論理和(+) 和集合(∪)
   論理積(×) 積集合(∩)

の対応を知っていれば、集合演算の多くは論理演算での説明が使えます。

集合演算子

集合式演算子内包的定義意味例示
補集合 A -A Aに所属しない元 ={1,2,3,4}、A={2,4}のとき
A={1,3}
和集合 A∪B {x|x∈A ∨ x∈B}
少なくとも一方に所属する元 A={1,2,3}、B={2,3,4}のとき
A∪B={1,2,3,4}
積集合 A∩B {x|x∈A ∧ x∈B} AとBの両方に所属する元 A={1,2,3}、B={2,3,4}のとき
A∩B={2,3}
差集合 A-B {x|x∈A ∧ ¬x∈B} Aに所属しBに所属しない元 A={1,2,3,4}、B={1,3,5}のとき
A-B={2,4}、B-A={5}
直積 A×B 直積 {(a,b)| a∈A ∧ b∈B} Aの元とBの元の組み合わせ A={1,2,3}、B={p,q}のとき
A-B={(1,p),(2,p),(3,p),(1,q),(2,q),(3,q)}

集合演算の基本公式

Aとの計算
A∪A=A、 A∩A=A、 A-A=φ
A∪、 A∩=φ、 A-=A
空集合φとの計算
A⊃φ、 A∩φ=φ、 A∪φ=A、 A-φ=A、 φ-A=φ、 A×φ=φ 
全体集合との計算
⊃A、 A∩=A、 A∪、 A-=A、 -A=、 
交換則
A∪B⇔B∪A、 A∩B⇔B∩A
結合則
(A∪B)∪C⇔A∪(B∪C)、 (A∩B)∩C⇔A∩(B∩C)
分配則
A∪(B∩C)⇔(A∪B)∩(A∪C)、 A∩(B∪C)⇔(A∩B)∪(A∩C)
吸収則
A∪(A∩B)⇔A、 A∩(A∪B)⇔A
ド・モルガンの法則
A∪B)⇔、 (A∩B)⇔