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ユビキタス社会

キーワード

ユビキタス、ユビキタス技術


ユビキタス(ubiquitous)とは「(神のごとく)遍在する」という意味です。ユビキタス社会とは,どこでも,いつでも,情報機器の存在を意識せずに利用できるほど日常生活に溶け込んだ状態のことをいいます。携帯電話や情報家電などの製品でもなく,コンピュータやネットワークなどの個別技術でもなく,それらをインフラとした社会を構築する環境であると認識するのが適切です。人間と情報機器(ネットワークも含む)との共生社会であり,IT革命の目指す高度情報化社会とは,ユビキタス社会の実現であるともいえます。

近年、社会に溶け込んでいるIT技術の幾つかを列挙します。

位置情報システム(GPS)
位置情報システムとは、現在自分のいる場所を知るシステムです。原理的には3点以上の電波発生源からの電波を受けて、三角測量により位置を割り出し、地図データに重ね合わせて表示します。4点以上あれば高さもわかります。
狭い範囲では、各所に設置されている無線局からの電波を利用しますが、広い範囲では、GPS(Global Positioning System, 全地球測位網)が用いられます。地球周回軌道にある数十個のGPS衛星が時刻を表す電波を発信しており、その電波を受けて緯度・経度・高度が算出されます。衛星からの電波では数10~数100メートル誤差が生じるので、地上に設置されたGPS基地局(携帯電話等にも使われる)により補正され、誤差は数メートル以内になっています。 GPSは、広い分野で利用されています。代表的なのが携帯電話やカーナビ(カーナビゲーション)です。
自動車自動走行システム
地図情報の整備、カーナビの精度向上、レーダ技術や解析技術の発展などにより、自動車が「走るロボット」のように進化してきました。
・自動車の速度測定はかなり以前からNシステムとして運用されています。
・車間距離を測定して自動ブレーキをかける機能をもつ車種が多くなってきました。
・車庫入れなど、周囲の状況を測定して表示する機能から、自動的に操作する機能へと進歩してきました。
さらに最近は、完全自動走行(ハンドル操作が不要)が注目されています。既に多数の実地走行実験が行われおり、実用が現実のものになりつつあります。
スマートシティ
  • スマートメータ
    近年、家庭での電力メータや水道メータがスマートメータに切り替わってきました。メータに発信機能を付けて事業者や家庭にリアルタイムに消費データを提供するものです。
    例えば、電力スマートメータにより、次のような効果が期待されます。
      事業者へのデータ提供(遠隔検針)
        遠隔検針による検針業務の合理化
        リアルタイム送電管理でのデータ取得(後述スマートグリッドへの前提
      家庭へのデータ提供(住宅用エネルギー管理システムによる電力使用量の可視化)
        電力消費節減への意識向上
        格安料金体系の選択
  • スマートグリッド
    スマートグリッド(Smart Grid)は狭義には「賢い送電網」のことですが、IT技術を活用して社会インフラ、特にライフラインの電力、水道、ガスなどについて、供給網を最適に制御するシステムです。地域の供給量や需要量をリアルタイムに測定して、省エネ対策に大きな効果があると期待されています。それにはスマートメータの普及が前提になります。
  • スマートシティ
    スマートコミュニティともいいます。スマートグリッドをより広域化・高度化して、都市全体を、対象に再生可能エネルギーの効率的利用や交通システムなど都市機能全般にわたり、ITの高度活用をしてスマート化しようとする概念です。経済発展と環境対策の両立のためにスマートシティ化が重要視されています。
    国もスマートシティの実現に積極的に取り組んでいます。経済産業省では、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)を事務局とした官民連携組織である「スマートコミュニテイ・アライアンス」を設立して、官民を参集した推進組織が設立しています。 (スマートコミュニティの概念図)


    出典:経済産業省「スマートグリッド・スマートコミュニティ」
    http://www.meti.go.jp/policy/energy_environment/smart_community/

日本は最近注目されているユビキタス社会での技術の分野では,優れた技術や環境を持っています。その代表的な技術を列挙します。

組み込みソフトウェア
従来から日本は、白物家電や情報家電が進んでいました。それらの機器にマイクロプロセッサが内蔵されていますが,そのソフトウェアを組み込みソフトウェアといいます。機器の機能向上、センサーの多様化,ネットワークとの接続など、組み込みソフトウェア技術は、ユビキタス社会の発展のインフラとして、ますます重要になります。
ロボット
ロボット技術では日本が進んでいます。産業用ロボット世界合計の約半数が日本で稼動しており、最大の輸出国です。
従来は産業用が主流でしたが、今後は介護や危険作業への利用が期待されています。それに利用されるヒューマノイド型ロボット(人間の形をした2足歩行ロボット)の分野でも、日本はトップに立っています(図表)
RFID
RFID(Radio Frequency Identification)とは,RFIDタグといわれる微小な無線ICチップで,無線により情報を授受することにより,商品などを識別したり管理したりする仕組みです。RFID技術も日本は進んでいます(図表)

このように、日本は、ユビキタス技術の分野の技術力は最も進んでいるといわれています。この分野での国際競争力を維持向上させることは,日本経済の発展に大きく貢献します。それで,産学官による各種プロジェクトが進められています(図表)


理解度チェック: 正誤問題選択問題