Web教材一覧情報倫理・セキュリティ

違法コピーと著作権

キーワード

違法コピー行為の重大性、違法コピーの原因


違法コピー行為の重大性

著作権が重視されるようになった理由に,違法コピーがあります。

デジタル情報と違法コピー

デジタル化が進んだこと,コピー機器が普及したこと,ネットワークでの配布が容易になったことが,違法コピーを増大させています。

デジタル情報の特徴
アナログ情報のコピーをとるためには,専用の機器が必要ですし,コピーを繰り返すうちに品質が劣化してしまいます。ところがデジタル情報では,パソコンで容易にコピーでき,原本とコピーの品質がまったく変わらないという特徴があります。
記録媒体の高速・大容量化
DVDやUSBメモリなどの大容量記憶装置が出現し,固定ディスクの容量も飛躍的に増大しました。しかも価格が低下しています。そのため,音楽や映像を取り込むことが可能になりました。
ネットワークの高速化、低廉化
ブロードバンドの普及により,音楽や映像などの大容量データを短時間で送受信できるようになりました。しかも,固定料金制が多くなったため,通信料金を気にせず送受信できるようになりました。

これらの技術進歩は望ましいことですが,反面,違法コピーを容易に行えるようになり,安易な気持ちで違法コピーする環境になってきました。

違法コピーは犯罪

店頭からソフトウェアのパッケージや音楽のCD-ROMを万引きすれば窃盗です。それらの価格は,媒体としてのCD-ROMや包装としての箱ではなく,中身のコンテンツの価値により設定されています。違法コピーをするということは,価値の大部分であるコンテンツを違法に入手することになるため,万引きと同等の窃盗行為を犯したことになります。また,違法コピーだと知りながら購入したり,利用したりすることも禁じられています。

著作権者への損害
ソフトウェアや音楽などのコンテンツ作成者や販売者は,それを売ることで収入を得ているため,違法コピーをされれば正当な利益が得られません。違法コピーは他人の財産を窃盗することなのです。
第三者への損害
作成者や販売者は,その損失をカバーするために,販売価格に上乗せします。違法コピー防止の対策を講じるための投資も価格に反映します。結局,善良な購入者が損をしていることになります。違法コピーは社会的に損害を与えるのです。
学生と違法コピー
残念なことに,学生間・生徒間での違法コピーが多いといわれています。コンテンツは人間の知的活動の成果です。学校は,人間の知的活動の成果を理解し,知的活動能力を高めることを目的に運営されている場です。その主要構成員である学生・生徒が違法コピーなどを行うことは,学校の存在意義すら認めない行為だということになります。

違法コピーをする理由

違法コピーが犯罪であることは,ほとんどの人が認識しています。それにもかかわらず,どうして違法コピーがなくならないのでしょうか。

価格が高い?
違法コピーを行う理由として,値段が高すぎるからだといわれています。しかし,価格が下がれば違法行為がなくなるという保証はありません。また,前述のように,違法コピーが価格を高くする要因にもなっています。
犯罪の実感がない?
CD-ROMを万引きするのに比べて違法コピーが多いのは,対象が無形のものなので,盗むという実感がないからでしょう。そして,コピーするプロセスがパソコンの操作だけで,犯罪とは無縁な環境で実現できるからでしょう。したがって,なおさら個人の自覚が求められます。
みんながやっている?
最も重要な原因は,みんなが違法コピーを行っているという認識でしょう。「赤信号,みんなで渡ればこわくない」というムードがあり,軽い気持ちで違法コピーを行ってしまうのです。それをなくすためにも啓蒙活動が必要です。

情報倫理・セキュリティ<へ