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ABC分析と発注方式の選択

学習のポイント

多くの品目の在庫管理をするとき,すべての品目について同じ管理方式をとるよりも,多額の費用を占める数少ない品目を重点管理するほうが効果的です。そのための品目を分類する方法にABC分析があります。その分析による区分品目に各種発注方式をどう選択するかを考えます。

キーワード

ABC分析,パレート図,定期発注方式,定量発注方式,簡易在庫管理方式


下図において,棒グラフは在庫している品目を在庫費用の高い順に並べたときの個別品目の在庫費用です。折線グラフはそれを累積したもので,パレート図といいます。

このパレート図から(数値はケースにより異なりますが),次の3つに区分することができます。
   A品目:10%の品目が在庫費用全体の70%を占める。
   B品目:A品目と合わせて,30%の品目で費用の90%を占める。
   C品目:残りの60%は費用の10%にしかならない。

すべての品目を平等に管理するよりも,C品目についてはある程度は費用が増加してもたいしたことはないので,管理に手間のかからないようにして,その労力をA品目の重点管理にまわすことにより,費用の低減を図るほうが適切です。このような考え方をABC分析といいます。

営業部門では,顧客を購入金額の高い順に並べると上図のようなパレート図になります。ABC分析により顧客を層別に区分して,サービスの方法を考えることが必要です。製造部門では,不良品の発生原因をABC分析することにより,Aの項目に重点的な対策を採ることにより効果的な品質管理ができます。

各発注方式の比較

主な発注方式には,定期発注方式定量発注方式簡易在庫管理方式があります。これらの特徴は次の通りです。

発注方式発注方式の特徴対象品目
定期発注方式 発注間隔一定,発注量変化
需要予測必要。予測対象期間が長い
A品目
需要変化が激しいB品目
定量発注方式 発注量一定,発注間隔不定
発注点管理
需要変化が少ないB品目
簡易在庫管理方式 発注量一定,発注間隔不定
管理が容易,在庫過剰の危険
C品目
定期発注方式
対象期間(発注間隔+調達期間)の需要予測を行う必要があります。その面倒はありますが,きめの細かい管理ができますので,A品目の管理に用います。またB品目でも需要変動の大きい品目では,需要予測が重要になりますので,この方式を用います。
定量発注方式
出荷量のバラツキは過去の経験値を用いるので需要予測は原則として必要としませんが,発注点管理が必要になります。一般的なB品目に利用します。
簡易在庫管理方式
考え方は定量発注方式と同じですが管理が簡単になります。ロット単位で管理するので,在庫が大きめになる傾向があり,在庫費用がある程度増加してもよいC品目に適用します。