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複数窓口での待ち行列(M/M/s)

学習のポイント

M/M/s型は,M/M/1型の窓口数を複数(s個)にしたものです。それだけのことですが,式は非常に複雑になります。


複数窓口の説明

複数窓口といっても,下のケースAのように窓口別に行列する場合は,それぞれの窓口についてM/M/1の公式が成立します。ここで取扱うM/M/s型はケースBのような場合です。

M/M/sの図解

このとき,単にM/M/1の公式で平均サービス率μが3倍にしたのではいけません。ケースAのときには,窓口Aが空いていても窓口Bに並んでいる人はサービスが受けられませんが,ケースBのときには,どの窓口でも空いている窓口があればサービスが受けられます。直感的にもケースBのほうが効率的だと考えられます。

M/M/s型での公式

状態方程式は,次のようになります。(ここでは,ρ=λ/sμになります)
   λP0=μP1
   λPn-1+(n+1)μPn+1=(λ+nμ)Pn
   λPn-1+sμPn+1=(λ+sμ)Pn
 これより,次の式が得られます。

M/M/sの公式
それにしても,あまりにもゴツイですね。

上の公式に窓口数s=1~3を代入して整理すると,次の表が得られます。

窓口数s=1~3の公式

公式のグラフ

窓口の個数sを変化させたときのグラフは下のようになります。ρが同じなのに,窓口が多数になるにつれて,
   Pn≧s:すべての窓口がふさがっている確率が小さくなる
     → すぐにサービスが受けられる確率が大きくなる
   L:サービスを受けるまでの平均待ち時間が短くなる
ことがわかります。

窓口数s=1~3のグラフ

ケースAとケースBの比較

客の平均到着率をλ=6,窓口1個の平均サービス率をμ=6として,窓口がs=2個ある場合を考えます。
 ケースAの場合は,客はランダムにどちらかの窓口に並ぶとすれば,客の平均到着率λ=3として,M/M/1の公式を適用すればよいことになります。ρ=λ/μ=0.5で,s=1ですから,
   上左図から,到着して待つ確率:Pn≧s=0.5
   上右図から,サービスを受けるまでの平均待ち時間:Lq=0.5
が得られます。
 ケースBの場合では,ρ=λ/sμ=6/(2・6)=0.5ですが,s=2ですので,
   Pn≧s=0.33
   Lq=0.33
となり,どちらもケースBのほうが効率がよいことがわかります。

ケースCとして,平均サービス率がμ=12の窓口を1個にする場合を考えます。この場合もρ=6/12=0.5で,s=1ですから,ケースAと同じになり,ケースBのほうが効率がよいことになります。

式を用いた一般的な考察をしましょう。(A)平均サービス率がsμの能力の窓口が1個のときと,(B)平均サービス率がμの能力の窓口がs個のときでは,ともにρ=λ/sμになりますが,Bのほうが効率がよくなりますが,たとえばs=2のときの,LqB/LqAの比を計算してみましょう。
 AのLqA=ρ2/(1-ρ),BのLqB=2ρ3/(1-ρ2)ですから,
   LqB/LqA={2ρ3/(1-ρ2)}/{ρ2/(1-ρ)}=2ρ/(1+ρ)
になります。このグラフは下の赤い実線になりますので,
   LqB/LqA≦1   ∴ LqB≦LqA
となります。
 LqAとLqBの差で比較するならば,
   LqA-LqB={ρ2/(1-ρ)}-{2ρ3/(1-ρ2)}=ρ2/(1+ρ)≧0   ∴ LqB≦LqA
となり,同じ結果になります(当然!)。この差は赤い点線になります。
 s=3についても青い実線青い点線になり,同様な結果になります。

単一装置と複数窓口の比較グラフ