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複雑ネットワーク

学習のポイント

複雑ネットワークは、グラフ理論の研究分野ですが、インターネットの現状でもこの状態が示されています。ここでは理論ではなく、インターネットの現状の観点で取り上げます。

キーワード

複雑ネットワーク, スケールフリー、スモールワールド、WSモデル、BAモデル


複雑ネットワーク

グラフ理論は18世紀前半に始まりました。複雑ネットワークでのBAモデルやWSモデルは1998/99年に発表されました。その後、ニューラルネットワークやライフラインなどに応用されていますが、特にインターネットを対象にした研究が注目されています。

グラフ理論(ネットワーク理論)では、点をノード、点に集まる線をリンクといいます。複雑ネットワークとは、現実の大規模ネットワーク(交通、脳など)では、ノードやリンクの状況が偏っており複雑な状況になっていることを指します。
 これをインターネットにあてはめると、Webサイトがノード、そこへのアクセスがリンクになります。インターネットでは、一部の検索エンジンや販売サイトに非常に多くのアクセスがあります。逆に、ほとんどアクセスされない多くのサイトが存在します。

スケールフリー性

アクセスの多い順にWebサイトを並べると、反比例のような図になりますが、少数のサイトが極端に突出した、次数分布のべき乗則に従っています。そのようなWebサイトを、ハブ空港などと同じ意味でハブといいます。
 この次数分布のべき乗則になることを、規模が制限なく大きくなるという意味でスケールフリー性といいます。
 このような特性をBA(Barabasi-Albert)モデルといいます。

スモールワールド性

任意の2つのノードが、中間にわずかな数のノードを介するだけで接続されるという性質です。「世間は狭い」といわれるように、一見赤の他人に見えても、実際は中間に少数の人を介するだけでつながるという性質です。 インターネットはバケツリレーで世界中を巡り相手につながるといわれますが、実際には比較的少ないルータを経由しているだけだという現象です。
 このような特性をWS(Watts-Strogatz)モデルといいます。
 

クラスタ性

「AとBが知人のとき、AとBの両方の知人であるCが必ず存在する」という特性です。現実のネットワークでは、A・B・Cで構成される三角形(あるいは多角形)の小さなネットワーク(クラスタ)が多数存在するという現象です。
 インターネットでいえば、特化した目的や仲間からなるネットワークが多数あり、それらが他のネットワークとつながり巨大なネットワークを構成しているのです。