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自動車・交通と情報

キーワード

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自動車本体での情報技術

自動車には、いろいろなな機能の部品が多数あります。その機能を最適な状態で動作させるために、センサで状況を把握し、組込みシステムで制御しています。

それとともに、自動車部品に占める電子部品比率は急速に大きくなっています。車種や駆動方式などにより異なりますが、2004年には19%だったのが、2015年には40%になりました。
 センサと接続して電子制御するコンピュータをECU(Electronic Control Unit)といいますが、100個を超えるECUを搭載する自動車もあります。
 制御のための組込みソフトウェアも巨大になってます。ソースコードのサイズは、2000年に100万行、2007年に1000万行、2016年には1億行に達したそうです。
 近年は、カーナビなど外部との通信や最適制御でのAiの活用などにより、この傾向は急速に進み、自動車は動くコンピュータのようになってきました。


自動車と外部の情報交換

カーナビゲーション

GPSなどから現在位置情報を受け取り、地図上に現在位置から目的地への適切な道順を表示する(ナビゲーションする)装置です。単に平面地図表示だけでなく、道路や付近の建物などを3次元表示したり、渋滞状況や道路の特徴などを表示する機能をもっているものもあります。

近年のカーナビは、本来のナビゲーション機能だけでなく、下記のIVIとしての使い方ができるようになり、車内スマートフォンのようになってきました。

位置情報取得機能も高度になってきました。基本的にはGPS情報に電子基準点からの補正情報を加えたRTK方式などが用いられていますが、それに自動車自体のタイヤの回転数、ステアリングに連動した角度センサなどの情報を加えて、精度の高い現在位置が得られるだけでなく、道路から離れた地図表示のない場所での位置も把握できるものもあります。

テレマティクス
Telecommunication(電気通信)+Informatics(情報処理)の造語。移動体に移動体通信システムを利用してサービスを提供することの総称。
 自動車向けであることを強調する場合は、カーテレマティクスともいいます。安全・安心機能の実現と、情報配信による利便性の向上が目的です。
  ・エアバッグ連動の自動緊急通報機能や車両盗難時の追跡機能
  ・交通情報配信、電子メール、天気予報など
  ・個別の自動車上での機能だけでなく、高度道路交通システム(ITS)への適用
などの機能がカーナビなどを介して行われます。
IVI(In-Vehicle Infotainment、車載インフォテインメント)
Infotainment=情報(information)+娯楽(entertainment)。車内で、ナビゲーション、位置情報サービス、音声通信、インターネット接続のほか、音楽や動画などのマルチメディア再生、ニュース、電子メールなどへのアクセス・検索機能などをもつシステムで、車内と家庭/オフィスといった車外環境とのシームレスな接続や、ほかの外部機器との連携といった、統合運用・利用が想定されています。 コネクテッドカーの目的の一つです。

ドライブレコーダ

車載ビデオカメラにより、車内外の状況を動画として記録、常に数十秒から数分の動画を連続して記録し、内蔵メモリーの容量がいっぱいになると古い映像を消しながら新しい映像を記録しています。特に、急ブレーキをかけたり車両への衝撃を加速度センサーが感知すると、その瞬間の前後の映像をメモリーカードへ自動的に移動させ、映像が消えないように保存します。ドライバの操作により、記録媒体に長時間映像を記録できるものもあります。

映像に加えて、音声や加速度、現在位置などを併せて記録できるものもあります。前方衝突警戒,、車線逸脱警戒、後方確認などの安全運転支援機能を備えたものもあります。

事故発生時に警察等が参考資料として、事故処理を円滑に行えるようにすること、ドライバー自身が映像を見ることで、安全運転への意識を高めることが本来の目的ですが、ドライブ中の車外の景色を保存することにも利用できます。

コネクテッドカー

「つながる車」といわれ、インターネットへの常時接続機能を具備した自動車です。IVIに加え自動運転、安全性向上、走行管理など安全快適な運転に不可欠な情報を取得します。車内にWi-Fiネットワークを構築するものもあります。


ITS(Intelligent Transport Systems、高度道路交通システム)

ITを利用して交通の輸送効率や快適性の向上に寄与する一連のシステム群を指す総称です。
 開発分野に分けると、次のようなシステムがあります。

VICS(Vehicle Information and Communication System、道路交通情報通信システム)

交通情報通信システムセンターなどで収集、処理、編集した道路交通情報を通信・放送メディアによって送信し、カーナビなどの車載装置に地図などにして表示させるシステムです。
 道路交通情報には、渋滞情報、所要時間、事故・故障車・工事情報、速度規制・車線規制情報、駐車場の位置、駐車場・サービスエリア・パーキングエリアの満車・空車情報などがあります。
 情報送信にはFM多重放送やビーコンなどが使われます。

(補)オービスとNシステム
どちらも警察が高速道路や幹線道路に設置している車両監視システムです。
オービスは、自動速度違反取締装置です。制限速度を大幅に超過した車両を検知すると、速度を記録すると同時に、カメラがストロボを発光しナンバープレートと運転者を撮影します。速度測定には、レーダを用いてドップラー効果で測定する方式(H方式)と、道路下に等間隔に埋めたループコイルを車両が通過した時間から方式(L方式)を組み合わせています。
Nシステムは、犯罪捜査を目的としたシステムです。眼下を走行するすべての自動車のナンバーを読み取り、中央装置に伝送している「自動車ナンバー自動読取装置」で、ドライバーの顔まで写せる高性能カメラ(CCD)も搭載しているものもあります。速度違反取締とは無関係なので、速度測定機能はありません。

ETC(Electronic Toll Collection System、電子料金収受システム)

有料道路料金所で停止することなく通過できるノンストップ自動料金収受システムのことです。

ASV(Advanced Safety Vehicle、先進安全自動車)

自動ブレーキ、誤発進抑制機能などの運転者サポートの先端技術を装備した自動車あるいはその技術です。
全自動走行ではなく、運転者支援を目的としています。既に市販車の多くがASVになっています。

ADAS(Advanced driver-assistance systems)

自動車の先進運転支援システムの総称です。上述のASVと重複していますが、技術的な視点から具体的な機能を示しています。

TDM(Transportation Demand Management、交通需要マネジメント)

自動車利用者の行動パターンを変化させることにより、道路渋滞や大気汚染などの交通問題を解決する手段を体系的に示したものです。

MaaS(Mobility as a Service)

情報通信技術を活用してマイカー以外の移動をシームレスにつなぐ概念です。現在は、電車、バス、タクシーなどそれぞれの交通サービスに個別で経路検索や支払いを行っていますが、MaaS社会では、公共交通、ライドシェア、カーシェア、自動車シェア、タクシー、レンタカーなどさまざまな交通サービスの経路検索、乗換ナビ、オンデマンド呼出、支払いをスマートフォンなどで一つのアプリで一括でできるようになります。
 MaaSには、「環境対策」「産業振興」「交通改革」の目的があります。
  レベル0 統合なし
  レベル1 情報の統合(複数モードの交通提案、価格情報)
  レベル2 予約、決済の統合(1トリップの検索、予約、支払)
  レベル3 サービス提供の統合(公共交通に加えてレンタカー等も統合)
  レベル4 政策の統合(データ分析による政策)

シェアリングに関する用語


自動車の自動運転レベル

自動運転レベルは次の5段階に定義されています。

レベル2では、高速道路など限られた条件下では「自動運転風」な運転も可能ですが、ドライバーは常にハンドルを握り、運転の責任は全てドライバーにあります。そのため、レベル2までは「運転支援車」と呼ばれています。ADASが高度に整備され統合的に制御される段階が、ほぼレベル2だといえます。

レベル3での「決められた条件下」とは、高速道路のように道路環境が整備されており、十字路や横断歩道などがない道路が対象になります。「自動運転モード」に切替えてシステムに任せるが、ドライバは、いつでも手動に切り替えられるように常にスタンバイしている必要があります。

レベル4での「決められた条件下」は、レベル3よりも次第に緩和されましょう。高速道路だけでなく幹線道路、さらには一般道路へと広げるという観点だけでなく、主に中山間部等の人通りの少ない地域において、公共交通の最終地点と自宅等最終目的地を結ぶラストマイルに自動運転車が利用できれば、社会的にも有意義でしょう。

レベル5では「ドライバ不在」になるのですから、その実現には、
  ・センサの精度向上、ECUの応答時間、組み込みソフトウェアの信頼性の向上
  ・周囲状況を把握・解析するためのAI技術、高精度#D地図の整備
  ・自動運転車を前提とした交通ルールの構築
  ・事故責任のあり方(人間かシステムか、システムならその責任は?)
などの技術的・社会的な課題が山積しています。


NEV(New Energy Vehicle、新エネルギー自動車)

ガソリンエンジンは完成した技術ですが、排ガスによる環境汚染の観点から、電気や水素を用いた新エネルギー自動車への移行が推進されています。タイプにより異なりますが、エコカー減税、グリーン税の減税、CEVClean Energy Vehicle補助金などの対象になります。

HV(Hybrid Vehicle、ハイブリッド自動車)
ガソリンエンジンとバッテリからの電力で動くモータの2つの動力を搭載しています。
通常は、エンジンが主体で駆動し、モータは燃費をよくするための補助的な役割です。バッテリは、家庭用コンセントや公共のスタンドからの充電ではなく、制動時のブレーキで発電するなど 走行中の力をうまく使って充電しています。
長所:ガソリン車より燃費が良く、航続距離が長い
短所:エンジン駆動が主なので、環境対策の効果が小さい
PHV(Plug-in Hybrid Vehicle、プラグインハイブリッド自動車)
自宅や充電スタンドなど外部電源からの充電が可能なHVです。HVとは逆に、通常時はモータだけで駆動するEVとして走り、バッテリがなくなったらエンジンを使うが、エンジンは主に発電用で、走行中に充電できたらモータ駆動に戻します。
長所:モータ駆動が主なので環境によい。自宅で充電可能
短所:エンジンと本格的なモータを搭載するので高額
EV(Electric Vehicle、電気自動車)
モータだけを動力とします。PHVと同様に、自宅や充電スタンドなど外部電源から充電します。
長所:環境によい。自宅で充電可能
短所:バッテリ容量が大なので充電時間が長くなる。バッテリの経年劣化による費用が多くなる
FCV(Fuel Cell Vehicle、燃料電池自動車)
水素と酸素の化学反応による燃料電池からの電力を動力とします。排出されるのは水ですから環境汚染をしません。
酸素は空気中から取れますが、水素は専用の水素ステーションで補充します。
長所:環境対策として4タイプ中最良
短所:普及途上のため、高額、水素ステーションも少ない