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SFAとCRM

学習のポイント

企業活動のポイントは顧客からの受注を増やすことです。それには,営業活動を支援したり,顧客との関係を維持向上させることが必要です。ここではそのための経営技法であるSFACRMの概念と,それを支援する情報利用技術を理解します。特に,多くの情報利用技術がSFAやCRMの要素になっていること,すなわち,これらは情報利用技術を総合的に活用したものであることを理解します。

キーワード

SFA,SFAソフト,顧客満足,CRM,CRMソフト,フロントオフィス・システム,バックオフィス・システム,コールセンター,CTI


1 営業活動の再検討

(1)営業活動の概要と用語

営業活動とは,新規顧客の獲得をしたり,既存顧客との関係を維持・拡大したりするための活動です。その内容は,業種業態により内容は異なりますが,およそ次のような活動があります(これらの用語を覚えてください)。これらの行動のうち,顧客と話し合うことを商談といいます。

営業活動の順序
  1. 顧客に働きかけることをアプローチといいます。新規顧客の獲得のために,見込顧客を探して会ってもらいます。それを「コンタクトをとる」といいます。顧客側から問い合わせがくることがありますが,それを「引合いがある」といいます。
  2. 顧客ニーズの把握をして,それを解決するための提案をします。その提案を説明することをプレゼンテーションといいます。概要提案に顧客が興味を示したら,より詳細な提案と費用を示す見積りを提出します。
  3. その後も商談を続けて,正式な契約へと進みます。それを成約といいます。
  4. 成約後も,納入までの諸事項について,多様な相談をします。
  5. 納入して,決済が行なわれることにより,この取引が終了します。
  6. 既存顧客との関係を維持拡大するために,顧客訪問を頻繁に行ない,アフターサービスをするとともに,新しい顧客ニーズの把握や新製品の紹介などにより,新しいビジネスの獲得へとつなぎます。
  7. 継続取引の場合には,電話・FAX・オンラインなどにより顧客から受注することもありますが,営業部員が顧客を訪問して商談を行ない,そこで注文を受けることもあります。
  8. 商談には,自社の新製品の紹介だけではなく,業界の情報提供や顧客へのコンサルテーションなど,取引以外でのサービスにより顧客の満足を得て関係を強めることが大切です。

(2)SFAとCRM

SFAとCRMの関係

このように,営業活動の大部分は人と人の関係が重要で,しかも業務が不定形だという特徴があります。それで,「勘・経験・根性」に頼った個人的活動になりやすく,システム化しにくい部門であるといわれてきました。しかし,それでは厳しい環境に対処できない状況になってきたのです。

SFA(Sales Force Automation)とは,営業部門の効率化,営業活動の展開,顧客サービス,売上・利益の増大を実現するために,営業活動を情報技術で支援する概念です。オートメーションとは自動化のことですが,営業活動の無人化などができるはずはありません。あくまでも人間の活動を支援するのが目的です。

また,企業は顧客があってこそ存在できるのですから,顧客との良好な関係を維持発展することが企業の基本です。それには営業部門だけではなく,顧客と接する機会のあるすべての部門で顧客に関する情報を共有・管理し,顧客満足を得るように常に最適な対応ができるようにすることが必要です。そのような概念をCRM(Customer Relationship Management)といいます。これにも情報技術の活用が求められます。

このように,一般的にはSFAは営業部門の人を直接に支援することを目的とし,CRMはSFAも含みマーケティング全体を支援するものだといえますが,その境界は不明確です。それで人によりSFAといったりCRMということもあります。


2 情報技術による支援

SFAにせよCRMにせよ,営業部門の活動やマーケティングの経営技法であり,情報技術のことではありません。しかし,それらを効果的に実現するには情報技術は不可欠でしょう。それで,「SFAソフト」や「CRMソフト」といわれるパッケージが多く販売されています。しかし営業活動は多様ですから,それを支援する機能も多様です。それでも,営業活動の全部をカバーするのではなく,それぞれある分野を重点にしているのが多いのです。むしろ特定のソフトウェアをSFAソフトとかCRMソフトというのでなく,以下に示すような多様なツールを組合わせて営業活動を支援する情報システムの全体をさすのだと考えるほうが適切です。 (SFA・CRMと各種技法)

SFA・CRMと各種技法

SFA 営業プロセスの支援    グループウェア
                 ナレッジ・マネジメント
    営業効率向上への支援   ワークフロー管理システム
                 インターネットの活用
                 モバイル・コンピューティング
    質を高めるための支援   データウェアハウス
                 プレゼンテーションツール
    営業ノウハウの普及    ナレッジ・マネジメント
CRM 営業活動拡大への支援   EC(電子商取引)
                 コールセンター,CTI

また,SFAやCRMは顧客と営業という最前線の分野ですので,このようなシステムをフロントオフィス・システムといい,従来の販売システムや会計システムなどの基幹業務系システムのことをバックオフィス・システムということもあります。

(1)営業プロセスの支援

コンタクトから成約までのプロセスを支援する機能です。具体的には,最初のコンタクトから,見込の状況,成約までに営業部員が行なった商談報告をデータベースに登録して,関係者が情報を共有できるようにします。それにより,次のようなことができます。

このような用途には,電子メールや電子掲示板などのグループウェアや,報告のルートを定めたワークフロー管理システム,文章情報をデータベースとして蓄積し検索加工するためのナレッジ・マネジメントなどが利用できます。

(2)営業の効率を高めるための支援

営業部員がより多くの顧客をより頻繁に訪問することが成約につながります。ところが現実には,それ以外に時間をとられることが多いのです。それを削減して効率を高める必要があります。

出張などでは,訪問先の地図,時刻表,切符の購入,ホテルの予約,出張手続き,出張費仮払いなどの作業が面倒です。最近はそれらの市販ツールやインターネットのページなどがあります。それらを自社環境に特化したワークフロー管理システムの構築が普及してきました。

朝,出社して準備をして顧客訪問に出かけ,それが終わったら帰社して報告書を作成するのでは,自宅と会社の往復時間が無駄になります。自宅から直接に顧客訪問して直接に自宅に帰る直行直帰が望まれます。それには,自宅や顧客先あるいは訪問途中でも,オフィスにいるのと同様な環境で仕事ができるようにする必要があります。そのためには モバイル・コンピューティングが活用されます。

また,訪問先では各種のプレゼンテーションが必要ですが,それには,プロジェクタによるプレゼンテーションが広く利用されています。

(3)営業の質を高めるための支援

(4)営業ノウハウの普及

新人の営業担当者や担当商品や担当顧客を替えたときに早期に戦力化することが必要です。それには,ベテランの成功・失敗事例を整理しておき,必要に応じて検索できたり,それを用いて教育することが効果的です。また,実際に商談件数を増やしたり,受注確率を高めるには,優秀な営業担当者の行動パターンを分析して、最も成功率が高いと思われる標準的な営業プロセスを作ることも必要です。それには,情報の共有化や知識の収集整理が必要でありグループウェアやナレッジ・マネジメントが利用できます。

(5)営業活動の幅を広げる

営業活動を営業部員が行なうのはコストがかかりますし,その範囲も限定されます。それで,インターネットの利用によるEC(Electronic Commerce:電子商取引)やコールセンターが普及してきました。

EC
Webページで製品の紹介をしたり,販売をしたりすることにより,市場を世界中に広げ,365日24時間注文を受けることができます。また,単に注文を受けるだけでなく,決済までも自動処理することも可能になります。
コールセンター
営業活動を電話で行なう形態です。電話応対者を多数集めたセンターをコールセンターといいます。受注,問合せ,クレームなどの電話を受けると,直ちにその顧客の顧客情報と過去の購買記録,製品の仕様,類似質問と標準的回答などが応対者のパソコン画面に表示されます。さらに,簡単な操作でそこでの質問や応対の記録を入力して,それを顧客情報として活用することもできます。これにより,ベテランでなくても,標準的な応対ができるようになります。これらは電話でなくインターネットでの電子メールでも同様なことができます。なお,センター側が電話を受ける場合をインバウンド,センター側から顧客に電話をかける場合をアウトバウンドといいます。

CTI

コールセンターを支援する情報技術にCTI(Computer-Telephony Integration:コンピュータ電話統合)技術があります。これを活用すると,次のようなことが可能になります。音声認識や音声生成の技術が発展すれば,さらに多様なことができるようになりましょう。

  1. 顧客から電話がかかってくると,その電話番号をキャッチして,対応者が受け取るまでにディスプレィに顧客情報を表示することができます。
  2. 音声認識もかなり進んできました。標準的な応対だけですむ場合には,人間の応対者ではなく,音声応答装置により自動的に返答するようにすることもできます。
  3. また,顧客リストを作成しておき,そのリストによって,自動的に電話をかけることができます。そして,相手が出たときには対応者に知らせるとともに顧客情報をディスプレイに表示します。

理解度チェック

第1問

  1. 営業部門の効率化,営業活動の展開,顧客サービス,売上・利益の増大を実現するために,営業活動を情報技術で支援する概念を[ 1 ]という。また,顧客との良好な関係を維持発展させるために,顧客と接する機会のあるすべての部門で顧客に関する情報を共有・管理して,[ 2 ]を得るように常に最適な対応ができるようにする概念を[ 3 ]という。
    1 SFA 2 顧客満足 3 CRM
  2. 商談や営業日報などを報告するには,[ 4 ]や報告のルートを定めた[ 5 ]などの情報利用技術が活用できる。自宅や顧客先あるいは訪問途中でも,オフィスにいるのと同様な環境で仕事ができる環境にするには[ 6 ]が利用できる。ベテランの知識経験やノウハウをグループで共有するには[ 7 ]が役に立つ。
    4 グループウェア 5 ワークフロー管理システム 6 モバイル・コンピューティング 7 ナレッジ・マネジメント
  3. 顧客からの受注,問合せ,クレームなどの電話を受けて,適切な応対をするセンターを[ 8 ]という。それに必要な技術に,コンピュータと電話を統合する技術である[ 9 ]がある。
    8 コールセンター 9 CTI

第2問

  1. 本文では営業業務をキーにして,利用できる主な情報技術を示しているが,ここに掲げた情報技術をキーとして,それが営業支援にどのように役立つかをまとめてみよう。
  2. SFAやCRMがどのように役だっているかを,「営業部員の一日」をテーマにしてドラマ的に説明してみよう。
  3. 実際には,上得意とそうでない得意先とでは,どのような営業活動をするべきだろうか。それをふまえてECやコールセンターの意義を考えよう。