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VMIとQR・ECR

キーワード

製流販三層、QR、ECR、VMI


スーパーなどの小売業での商品の在庫管理は、小売店自身が行うのが通常ですが、メーカーや卸売業が在庫管理を行う方式をVMI(Vender Managed Investment)といいます。これにより、発注から代金支払までのプロセスが合理化されます。初期のVMIの事例として、ウォールマートとP&GのVMIが有名です。

従来は、メーカーや卸売業者は、小売業者からの注文により商品を納入します。納入の際には個数があっているか不良品はないかの検品を行い、店舗では受け取った商品をいったん在庫場所に保管し、それから商品棚に陳列します。このように、発注から代金支払までのプロセスは、多くの作業がありました。(作業の列挙)

  1. 小売店はメーカーに、何の商品を、どの店舗に、いつ、どれだけ納品するかを発注する。
  2. メーカーは、それに従って、商品を取りそろえて配送する。
  3. 店舗側の担当者と配送の担当者は、到着した商品と、発注書、納品書をチェック(検品という)して、納品書にサインをする。
  4. 検品を受けた商品は、いったんバックヤードに置かれ、そこから売場の陳列場所に並べられる。
  5. メーカーは、月末に納品書から請求書を作成して小売店に送る。
  6. 小売店も請求書と納品書を確認して、代金を支払う。

小売業者(スーパーなど)とメーカー(卸売業者を含む)が信頼関係を高め協力することにより、次のような効果が得られます。

  1. 小売業者は、POS情報をメーカーに公開します。メーカーはそれをみて、どの店舗に何をどれだけ納入するかを決定し、配送します。すなわち、発注・受注の作業が不要になります。メーカーは、適切な配車計画を立てることができます。
  2. 双方が数量や品質について信頼しているので、検品作業が不要になります。納品書も不要になります。
  3. 配送業者は、そのメーカーに与えられた陳列棚に直接陳列します。
  4. メーカーの小売業者への売上は、公開されたPOSデータでの販売数量を用いるため、請求伝票などは不要です。小売業者はPOSデータに基づいて代金をメーカーに支払います。

このように、小売業者、卸売業者、メーカーの製流販三層が、情報を共有して協力することにより、多くの作業が不要になるため、コスト削減が実現できます。また、情報が迅速に得られるために、適切な品揃えができます。これらは、顧客満足を獲得するのに効果的な手段です。企業間にまたがるBPRだともいえます。
 このような手段を、繊維業界ではQR(Quick Response)、食品・日用雑貨業界ではECR(Efficient Consumer Response)と呼んでいます。

QRとECR (詳細図)

理解度チェック: 正誤問題選択問題