チェーンストアとは
チェーンストアとは、経営学的には「単一資本が自ら設置した店舗を11店以上直営している小売・飲食業」のことですが、ここでは、統一性を持った複数店舗の集合体のこととします。また、チェーンストアはサービス業界や飲食店業界でも多くありますが、ここでは小売店業界に限定します。
チェーン化することにより、次のような利点が得られます。
- 大量仕入れによる仕入価格の低廉化(バイイングパワー)
- 多店舗展開によるイメージアップ
- 本部の専門的機能による効果的効率的運営
- 事務処理などの共通業務の集約による間接業務コストの削減
さらに、以下にあげるチェーンストアでは、セルフサービス、POS/EOSの活用など店舗でのコスト削減を徹底して、薄利多売を追求しています。
業種による区分
- スーパーマーケット
主に食料品や日用雑貨を扱い,セルフサービス,大量仕入れによるコスト低減をして、低価格による商品回転率を高める廉価多売をビジネスモデルにしています。
主に取扱う商品により、食品スーパー、衣料品スーパーに区分できます。
- GMS(general merchandise store、総合スーパー)
多様な商品を総合的に扱う大規模なスーパーマーケットです。
- コンビニエンス・ストア
比較的小規模な店舗ですが、買い物の時間的便利性(24時間営業)、場所的便利性(近くにある)、商品的便利性(日常生活に必要なものがそろっている)を特徴としています。通常は生鮮品は扱っていませんが、最近はそれも扱う店舗も出現しています。
- ドラッグストア
主として医薬品,化粧品を中心ですが、家庭用品,加工食品なども扱っています。
- ホームセンター
主として日曜大工用の道具や材料、園芸用品、家庭雑貨を扱っています。DIY(Do it yourself)ともいいます。
組織形態による区分
- 直営チェーン
単一の企業が本部も店舗も運営する形態です。
- フランチャイズチェーン
本部企業(フランチャイザー)と異なる企業が契約して加盟店(フランチャイジー)になる形態です。本部は加盟店からロイヤルティを徴収し、営業権や商標の使用権を与え,経営指導や援助を行います。
・加盟店が本部とは資本的に独立しています。
・本部に戦略立案・管理機能が集中化し、加盟店は本部の強力な指導のもとに置かれます。
・本部と加盟店の縦の関係であり、加盟店間での横の関係は希薄です。
- ボランタリーチェーン
同じ目的をもつ独立の小売店など共同してチェーン化したものです(米国ではこれをコーペラティブチェーンといい、ボランタリーチェーンは卸売業者などが主宰するチェーン本部に小売店が加盟する形態ですが、ここでは日本での慣例に従います)。
フランチャイズチェーンと同様に、加盟店は資本的に独立しており、本部が加盟店を指導しますが、その本部は加盟店が設立したので加盟店の意向が反映しやすいこと、加盟店間の横の関係が強く相互助成がしやすい特徴があります。
その他の共同店舗形態
チェーンストアとは異なりますが、共同で店舗を運営している形態を掲げます。
- 生活協同組合(生協)
消費者が組合を作り、組合員の出資で運営する店舗です。消費生活協同組合法に基づいており、スーパーストアのように地域に密着した地域生協、大学での大学生協など多様な生協があり、全国の連合会があります。
- アウトレットモール
メーカーや専門店が、自社商品の在庫処分、規格外品処分ために開設する格安販売店舗をアウトレットストアといいますが、それを大規模に集積した場所をアウトレットモールといいます。集積による来店者増大が目的です。
- アンテナショップ
アンテナショップとは、販売目的ではなく製品の紹介や消費者の反応調査など情報の受発信を目的として開設する店舗のことです。自治体などが、地域振興のために、地域特産物や観光のPRとして開設することもあり、地域の企業が統一したテーマで出品しています。