Web教材一覧システムの活用

IoT(Internet of Things)


IoTとは

IoTの例

IoT(Internet of Things、モノのインターネット)とは、情報・通信機器だけでなく、産業機械から消費材まであらゆる「モノ」に通信機能を持たせ、インターネットを介して通信することにより、自動認識や自動制御、遠隔計測などを行うことです。
 例えば、次のような利用があります。

IoTという用語は、P&G社のケビン・アシュトン(Kevin Ashton)が、1999年にRFIDによる商品管理システムについてRFIDジャーナル誌に載せた記事で用いたのが最初だそうです。2005年にITU(International Telecommunication Union:国際電気通信連合)の文書のなかで用いられ、広まったといわれています。
 ビジネスで一般に話題になったのは、スマートフォンやクラウドコンピューティングが普及した2010年代になってからです。IBMやシスコシステムズなどのIT企業が、次世代分野としてIoTを唱えました。

IoTと似た概念

IoTの概念は以前からありました。また、IoTと似た用語も多く、これらの概念と重複することもあります。そのため、IoTの定義はあいまいです。

インダストリー4.0

ドイツ政府が2011年に策定し推進している、IoTを駆使した次世代産業の構築・確立を目指す戦略です。第4次産業革命と位置付けられています。
   第1次:18世紀、蒸気機関による機械化
   第2次:20世紀初頭、電気による大量生産
   第3次:1980年代、コンピュータによる自動化
 産業機械や物流・生産設備のネットワーク化、機器同士の通信による生産調整の自動化、センシング技術による製造管理など、自動化された工場が業種を越えてネットワーク化することにより統合化する概念です。
 日本企業も大きな関心を持ち、その実現推進を目指しています。2015年の日独首脳会談でインダストリー4.0の推進協力に関する合意をしました。欧米も同様であり、世界的な潮流になってきました。

スマートファクトリー (Smart Factory)

インダストリー4.0を具現化した形の先進的な工場のことです。
 工場内のあらゆる機器や設備、工場内で行う人の作業などのデータを、IoTなどを活用して取得・収集し、このデータを分析・活用することで、業務プロセスの改革、品質・生産性の向上、フレキシブル生産、人手不足への対応などの付加価値を継続発展的に実現することを目的としています。

代表的なIoT対象

●身の回りのIoT

IoTを発展させる技術や環境

コンピュータビジョンとマシンビジョン

IoTやAIを活用して現場の作業を支援する技術に、コンピュータビジョンとマシンビジョンがあります。
 ここでのビジョンとは画像のことです。
 両者ともビデオカメラなどで画像を取り込み、パターン認識などにより、画像を分析しますが、
  コンピュータビジョンはそれを作業者に伝えるだけなのに対して、
  マシンビジョンでは、結果によって他の機器を制御する
違いがあります。

コンピュータビジョンはAIを用いて正確な画像認識をすることが目的です。顔認識、医療画像診断、車の自動走行に使われています。

マシンビジョンは、人間が行ってきた目視検査を自動化するものです。人間の目では判別できない小さな傷を見分けたり、見た目で分からない違いを見分けたりすることができるのが特徴で、食品や医療の評価・分析の自動化をサポートします。

IoTの4段階

IoTの機能や役割には、その特性に応じ「監視」「制御」「最適化」「自律化」の4段階に区分されます。また、この順序で技術が進化しますが、用途によっては必ずしも自律化を目標とせず、監視や制御の段階で十分なものもあります。

自動車の自動運転レベル

国は、自動運転レベルを次の5段階に定義しています。

ADAS(Advanced driver-assistance systems)

自動車の先進運転支援システムの総称です。自動車に搭載したセンサや外部のセンサにより、周囲の情報を把握して、運転者への情報伝達や運転操作の制御を行い、事故の防止や運転の快適性を支援します。
代表的な機能を列挙します。

ADASは、自動運転のコンポーネントな技術であり、これらを装備することによりレベル1~2を実現できます。

IoTが持つリスク

IoTが普及すると、これまでにない大きなトラブルが発生するリスクが増大します。IoTは、単なる技術の問題ではなく、社会全体の問題として捉えることが必要なのです。