Web教材一覧システムの活用電子マネー

ビットコイン

2013年から2014年にかけて、ビットコインが大きな話題になりました。ここでは、ビットコインについて、全般的な概要を理解することを目的にします。

私は、ビットコインを利用していません。ここでの内容は、マスコミやWebサイトからの情報を、自分が理解したと思われる範囲で記述しています。そのため、誤りもあるかもしれません。
 また、これを記述した2014年3月現在では、ビットコインは普及初期の段階であり、今後の動向は未知数です。


ビットコインの概要

ビットコインとは、代表的なインターネット上で流通している仮想デジタル通貨です。
 円やドルは国が発行し責任をもつことの信用が通貨としての基本になっていますが、ビットコインは不特定の個人がコインを発行できるし、その価値を保証する責任組織がありません。オープンソースになっているビットコインのシステムが管理しているだけです。
 逆に、一国の支配に縛られずに、インターネットで世界的に通用することから、国際通貨だともいえます。この観点では、従来の通貨体制とは全く異なる通貨が出現したともいえます。

ビットコインでは、送金や為替交換などの手続きが簡単で手数料が安いことから、インターネットを介した商取引に適しており、その発展に寄与するといわれています。
 反面、対通貨価格の相場変動を利用した投機目的となっていること、違法取引や資金洗浄の温床になっていること、取引所への不正アクセスによるコインの盗難や紛失が多いのに被害者保護の法的手段がないこと、さらには国の通貨管理が及ばないことなどの問題点も指摘されています。

従来の通貨の特徴

物々交換取引の煩雑さを回避するために貨幣が発明されました。貨幣は紙幣や硬貨のように物理的なモノです。
 広く流通するようになった貨幣が通貨です。通貨を取引に使うには、貨幣の物理的価値はなくても、その表示されている価値が取引者間で共通に認識されていること、すなわち貨幣への信用があることが基盤になります。
 以前は同価値の金と交換できることで信用を確保していましたが、現在では、国(中央銀行、政府)が貨幣の発行権は国が独占し、その価値を保証することが信用の基盤になっています。現在では、これを通貨といいます。円やドルです。

銀行振込やクレジットカードのように、現金ではなく、保有通貨所有権のデジタルデータを書き換えることにより決済することができます。この場合も、そのデジタルデータが通貨に変換できることが信用になっています。
 電子マネーは企業が発行するデジタル貨幣ですが、通貨との互換は発行者が責任をもっており、「資金決済法」により消費者保護がなされています。
 小切手や為替なども、これらの発行には法律で規定されていることから、国の管理下にあるといえます。

国際的な決済では、A国の通貨とB国の通貨を交換する必要があります。その交換比率(1米ドル=100円など)を為替レートといいます。為替レートは時々刻々変動するので、そのリスクを避けるため、処理を容易にするために、多くの国で価値を共有する通貨で決済することが多く、それを基軸通貨といいます。何を基軸通貨にするかの規則はありませんが、米ドルが代表的な基軸通貨になっています。この場合も、米ドルすなわち米国の信用が基盤になっています。

ビットコインの特徴

通貨としてのビットコイン

ビットコインは、インターネット上で流通している仮想デジタル通貨の一つです。通貨の単位はBTCといいますが、紙幣や硬貨はなく(仮想通貨)、Web上のデジタルデータにより決済されます(デジタル通貨)。

ビットコインには、中央銀行などに相当する管理機関はありません。ビットコインというシステムで管理されています。このシステムは、ナカモト・サトシと名乗る人物(注)が2009年に原理を考案して実装し、現在はコミュニティによりオープンソースとして維持しているそうです。
(注)実名で存在する日系米国人だと特定できたという(Leah McGrath Goodman「The Face Behind Bitcoin」(ニューズウィーク誌、March 6, 2014)話もありますがが、依然として謎のままです。

ビットコインには、信用保証機関がありません。コイン(デジタルデータ)が何らかのトラブルで盗難・消去されても、それを補償する責任がどこにもないのです。
 ビットコインを正式の通貨だと認めている国はありません。

それでも、当事者間で信用があると認められれば、物品やサービスを受けることができます。すなわち、通貨として通用できます。ビットコインは、当事者の自己責任で成立している通貨だといえます。

しかも、ビットコインは特定の国の管理下ではなく、Web全体に共通した決済手段であることから、ビットコインは国際通貨であるともいえます。現在は米ドルや円と比較して微々たる規模ですが、それらに匹敵する規模になれば、将来の通貨体制に大きな影響を与えることも考えられます。

ビットコインの発行

ビットコインの発行権は独占されていません。誰でも、インターネット上で暗号解読のような高度で複雑な計算を行い、それに成功すると一定額のBTCを与えられ、それが貨幣として流通することになります。金脈を掘り当てるような作業になるので採掘といいます。
 採掘が進まないと普及しませんし、乱堀すると信用が低下します。それを防ぐために、システムでは採掘の複雑性や採掘に対するBTC額を設定しています。

一般の人にとって採掘するのは困難ですが、インターネット上に銀行に相当するビットコイン取引所(以下「取引所」と略します)があり、そこに専用口座(ビットコインアドレスという英数字列)を開設して通常通貨とビットコインを交換することができます。また、その口座を通してビットコインでの決済もできます。

Web内の広告を一定時間閲覧することにより、あるいは、自分のWebサイトに広告サイトへのリンクを貼る(アフィリエイト)ことにより、BTCを得られるサイトもあります。インターネットゲームでBTCのやり取りも行われているそうです。これらで得られるBTCは少額ですが、チリも積もれば山になるかもしれません。

ビットコインの長所

銀行預金とは異なり利子はつきませんが、取引所は究極的なオンラインバンキングになるので、決済や通常通貨との交換の手数料は非常に低く設定されています。

Web上でビットコイン取扱の店舗で物品購入する場合、取引所のサイトで店舗のビットコインアドレスと料金のBTCを入力するだけで決済できます。クレジットカード決済よりも簡単です。

スマートフォンにビットコインのアプリを取り入れることにより、実店舗でもビットコインを扱う店舗では、スマートフォンをキャッシュカードやクレジットカードのように使えます。スマートフォンからの送金や通貨との交換も簡単にできます。

ビットコインは、インターネット上で流通する国際通貨であり、利用の範囲内では基軸通貨の位置づけになります。そのため、海外決済が迅速に、為替交換手数料なしに行うことができます。

ビットコインは通貨ではなく、税務署などに財産の把握をされません。BTCの対米ドル為替相場の変動を利用して、外貨交換や株取引のような利用ができます。

政治的に不安定で通貨経済が破綻している国では、国よりもビットコインのほうが信用が高いこともあります。従来は財産を金や宝石にしていたのをビットコインにする傾向もあります。特に金や宝石にできない少額財産の対策としてビットコインが利用されることもあります。

ビットコインの危険性

中央銀行は、国家経済政策として、為替レート変動への介入や通貨発行額の調整をしています。ビットコインは世界的なものであり一国の介入ができなく、ビットコインの為替レートは、乱高下が大きくなる傾向があります。実際取引の必要性よりも投機の対象となっているともいわれます。個人の思惑や投機筋の戦略により左右される傾向が大きい通貨が大規模になると、世界全体の経済が不安定になる危険性をもっています。

ビットコインのシステムの脆弱性をついた不正なビットコインの盗取、取引所への攻撃によるビットコインデータの破壊など、セキュリティ上の脅威が多い環境です。しかも、責任母体がないのですから、損害の補償が得られないことが多いのです。

法的規制が及ばないことから、違法取引や不正資金の洗浄(マネーロンダリング)などの温床になっていると指摘され、各国での対応が注視されています。


ビットコインの仕組み

送金の方法

ビットコインの決済は、手形の裏書と似ています。送金者Aが受金者Bにコインを送金するには、公開鍵暗号方式が用いられます。送金コインにAがコインを得た取引情報とBの公開鍵を付けることにより、新しい所有者がBになります。
 この取引データは、Web上に公開されます(個人情報を保護するために、公開鍵は暗号化されており、第三者に知られません)。Bは、Aからの取引情報から一連の公開データを遡って署名を検証することにより、コインの正当性を確認できます。

しかし、これだけでは、
  確認作業が大変な作業量になる。
  Aが二重発行しているのを防げない。
  取引データの改ざんや破壊への対策が必要になる。
などの問題が発生します。
 ビットコインでは、それを次の手段で解決しています。

取引データの正当性承認手順

このシステムでは、多数のサーバが連動しています。取引データは、それぞれのサーバに送られます。それ以降のサーバは次のような処理をします。

取引データを個別に扱うのは面倒なので、数百のデータを一つのブロックにします。
そして、そのブロックにタイムスタンプを押してハッシュ化し、そのハッシュをWeb上に公開します。このブロックは、この段階では正当性が未確認なので、未承認ブロックといいます。この未承認ブロックの情報は各サーバにより異なります。

正当性が承認された取引データのみで構成されたブロックを承認ブロックといいます。承認ブロックは一連のチェーンになっており、それを遡れば最初のコインのデータにまで到達できます。全サーバこのチェーン情報をもっています。
 取引データの正当性を証明するということは、未承認ブロックを承認ブロックにすること、すなわち、チェーンの最後に未承認ブロックをつなげることです。これが採掘作業です。

どこかのサーバでチェーンが繋がったら(採掘に成功したら)、そのブロックに含まれるすべての取引データが以前の承認ブロックに存在しない(二重発行ではない)ことを確認します。新ブロックを含んだチェーン情報は全サーバに通達されます。
 すなわち、承認作業はサーバ間での競争になります。同時に複数のサーバで異なるパターンが発見された場合の対処措置も講じられています。

採掘の方法

未承認ブロックを最後の承認ブロックのチェーンにつなぐには、つなぐためのキーの値を見つけることが必要です。そのキーは、システム作成者やサーバ運営者も含め誰も知らないというのが、そのシステムの特徴で、それを発見する作業を採掘といいます。

まず最後の承認ブロックの記録から、ハッシュ値が与えられれます。これをH0とします。これと、キーの値keyを適当に想定します。
 このH0とkeyの2つの値を、公開鍵方式で広く用いられているSHAのハッシュ関数により、ハッシュ値dを生成します。
 そして、dが一致条件(例えばdの値の先頭に0が32個並ぶ)を満たせば、そのkeyが正しいキーであり、未登録ブロックがチェーンにつながったとするルールになっています。

すなわち、キーを探すには、面倒なハッシュ関数をkeyの値を変えて試行錯誤するのですが、それには膨大な計算量がかかります。

このキーを見つけ出した人には、その報酬として一定額のビットコインが与えられます。そのコインが新規のコインとして発行されたことになります。
 すなわち、ビットコインは、金鉱を探鉱して誰の所有でもない金塊を見つけるような、無から有を得る仕組みになっています。

報酬が得られるのは一つの未登録ブロックに対して最初の採掘成功者だけですし、一定期間での未登録ブロックがコントロールされているので、全世界で熾烈な競争が行われます。
 採掘計算を効率的に行うために、GUIminercgminerなど採掘用専用のソフトウェア、採掘に特化したチップや高性能コンピュータ(TerraMiner IVなど)、さらには、巨大な投資をしてビットコインデータセンターを構築し、共同採掘をするようにもなってきました(BitcoinPlusCoinlabなど)。

ビットコインの発行規制

採掘が複雑な大量の計算ではあっても、大勢の人が取り組んでいるので、コインの発行額は次第に増加します。放置していればコインが大量に出回り、コインの価値が下落してしまいます。それをコントロールするために、次の手段がとられています。

ブロックが増大するのに伴い、報酬として与えるコイン数を減少することにより、コインの総発行量の上限を規制しています。
 まず、報酬の対象になるブロックは6,929,999番目のブロックとなっています。このブロックでの採掘が行われた時点で新コインの発行が終了します。それ以降の採掘に対しては、ブロックに入っている取引から手数料として既発行BTCを支払うことになっています。
 最初の21万ブロックについては、1ブロックあたり50BTCが与えられ、次の21万ブロックでは25BTCとするように、21万ブロックごとにコイン数を1/2にしています。それにより、下図のように、最終の発行額は約2,100万BTCになります。


出典:ビットコインフォーラム「FAQ」
http://www.bitcoin.co.jp/faq/faq.html
ビットコイン発行計画と総発行量

コイン発行総量が短期間に急増したり停滞するのは、長期的に安定した価値を維持できません。採掘回数を時間的にコントロールする必要があります。
 採掘作業に長時間かかるとしても、多数が採掘を試みており採掘技術も進歩しているので、1回の採掘に成功する時間はかなり短くなります。システムは、1回の採掘成功に要する時間を約10分に1回程度になるように、成功条件(Difficulty)を厳しくする設定をしています。
 1/10[回/分]は1時間では6回、1日で144回、1年で52,560万回になります。また、総採掘回数6,929,999回が終了するには、6,929,999/52,560=132年になります。
 現時点でのBTC量は、 http://blockexplorer.com/q/totalbcで知ることができます。

ビットコインの堅牢性維持方法

承認済のブロックは1本のチェーンになっています。悪意の攻撃者が、複数のチェーンに枝分かれさせることができれば、分岐するチェーンのブロック(それに含まれる取引データ)を勝手に作り出して不正行為ができます。

善意の採掘者が同時に複数の採掘が成功したときにも、複数のチェーンが作り出されます。チェーンの枝分かれを防ぐために「最長のチェーンを正規のチェーンとする」というルールが適用されています。

善意の採掘者は、最長チェーンに新規ブロックを追加していきます。採掘者は多数なので、チェーンの長さは約10分ごとに1つずつ増加します。不正チェーンを最長とするには、攻撃者はそれを上回る速度で採掘しなければならず事実上不可能です。
 すなわち、「善意の採掘者は攻撃者よりも大量の計算資源をもつ」ことにより、不正行為を防いでいるのです。これをプルーフ・オブ・ワークといいます。


ビットコイン市場

個人のビットコイン利用

個人がビットコインで支払いなどをするには、通常はウォレット(財布)を用います。当然、このウォレットもソフトウェアです。そのソフトウェアは無料でダウンロードあるいはオンライン利用できます。

ビットコイン支払での正当性確認は、クレジットカードでのオーソリゼーションに似ています。 ビットコインで取引をすると、そのデータはWeb上の未承認ブロックに蓄えられ、誰かがそれを採掘することによって承認ブロックになります。その時間は10分程度です。
 すなわち、受け取ったビットコインが正当なものであることが判明するまで、また、受け取ったコインを使うまでには10分待たなければなりません。

しかし、実店舗での支払いに10分もかかるのでは不都合な場合があります。それで、少額の場合は受取側の自己責任でオーソリゼーションせずに取引を終了することもあります。

ビットコインの利用状況

ビットコインが開始された当初(2009年)は、採掘が主な目的で、コイン交換も個人的なものだったと思われます。おそらくIT技術者やこの分野での好事家に限られていたでしょう。話題がホットになるに伴い、参加者が増大してきました。

すぐに取引所が開設されました(2010年にMt.Gox開設)。これにより、一般の個人が手軽に利用できるようになりました。
 その代表的な取引所には、 Mt.Gox(日本)、Bitcoin-24(欧州)、Bitstamp(英国、スロバキア)、BTC-e(ブルガリア)などがあります(後述のように、Mt.Goxは2014年に経営破綻して再生法適用申請中です)。

ビットコインを扱うWebサイトや実店舗も増加しましたが、その速度はたいしたものではありません。

ビットコインでの買い物は、送金手数料が安価であり、海外取引も通貨交換手数料が不要になります。特に低額の決済では便利です。 ビットコインを取り扱う実店舗も次第に増加してきましたが、その速度はたいしたものではなく、未だ世界で数千の規模のようです。「Coinmap」にそのリストがあります。
 日本では未だ取扱店が話題になる程度です。Coinmapには、洋菓子店、レストラン、エステサロン、語学学校などが掲げられています。

2013年に利用者が急速に増加しました。商取引の決済目的よりも、送金や投機の対象として増加したと思われます。
 ビットコインは、匿名性が特徴であり、監督機関もないことから、利用者数は不明なのですが、2014年初頭のビットコインの利用者は、世界で数百万人だといわれています。
 利用者の国別分布では、欧米先進国が多かったのですが、その後、中国で急増しました。日本の利用者はかなり少なく、全体の1%にもならないといわれています。

ビットコインの為替レート

  1. 2011年2月:ビットコインの市場価格が初めて1ドルを上回る。
  2. 2011年6月:違法薬物購入にビットコインが使える闇サイトSilk Roadの報道で、ビットコインに対する注目が集まり、価格が急騰。
  3. 2011年6月:一時30ドルまで上昇したものの、ビットコイン最大の取引所であるMt.Goxがハッキング被害を受けて下落。
  4. 2013年2月:ビットコインのギャンブルウェブサイトの成長で、ビットコインの価格が再び30ドルを超える。
  5. 2013年3月:ユーロ圏の小国キプロスに端を発する金融危機で、安全な逃避先を求めて一部の資金がビットコインに流入。
  6. 2013年3月:ビットコインの総流量が総額10億ドル(約1000億円)を超える。
  7. 2013年10月:FBIが闇市サイトSilk Road(シルクロード)を閉鎖。
  8. 2013年10月:中国Baidu(バイドゥ、百度)がビットコイン導入。米で一部政府機関閉鎖のニュースも相場を後押しした。価格は急上昇し、一時1,200ドル(約12万円)を上回った。
  9. 2013年12月:中国当局の取締りを受けて700ドル(約7万円)ほどまで下落。その後反発。
  10. 2014年2月:ビットコインの主要取引所 Mt.Gox がネット攻撃により114億円相当のコインを消失し業務停止、3月に債務超過により民亊再生法を申請。ビットコインの信用低下による相場下落。

出典:CoinChannel「一目でわかるビットコインの歴史・相場変動:マサチューセッツ工科大学の機関紙がビットコインを分析」に10を追加
http://www.technologyreview.com/news/424091/what-bitcoin-is-and-why-it-matters/


出典:読売新聞(2014年2月26日朝刊31面)「基礎からわかるビットコイン」

ビットコインの価値に影響した主なイベントと対ドル相場の推移

発行額が決められており利用機会が増大すると、ビットコインの米ドルや円などとの為替ルートが高くなります。それで、ビットコインの規模はBTCの量ではなく、米ドルとの為替相場で表わしています。

ビットコインの総規模は、2014年初頭で
  1250万[BTC]×600~800[ドル/BTC]=75~100億ドル=7500億円~1兆円
で、このレートで最終発行額は約,100万BTCになった場合でも1.3~1.7兆円程度です。
 国の発行通貨77兆円、1兆米ドル(100兆円)、トヨタ自動車の株式時価総額は約20兆円と比較すれば微々たるものですが、小国や発展途上国に匹敵する規模だといえましょう。

右図のように、ビットコインの相場は乱高下しています。これは、ビットコインが投機対象になっているからです。

類似のデジタル仮想通貨

ビットコインの発展に伴い、ビットコインを補完するコインが多数出現しました。代表的なものにライトコイン(litecoin)、ネームコイン(namecoin)、ノバコイン(novacoin)などがあります。

そのなかで注目されているのはライトコイン(単位はLTC)「BTCは金貨、LTCは銀貨」といわれます。2011年から開始され、2013年末には2,400万LTCが発行されています。ビットコインと比較して、コイン数は多いのですが、相場が安いので金額的には微々たるものです。

原理はビットコインとほぼ同じですが、採掘が比較的容易で、一般個人が通常のパソコン能力でも参加できるようになっています(採掘報酬も少額になるが)。そのため、認証に要する時間が2.5分に短縮されています。

ビットコインとライトコインの交換は、通貨を仲介する以外に、両方を取り扱う取引所で安価な手数料で交換できます。


ビットコインをめぐるトラブル

取引所でのコイン盗難

本来、取引所は他人のコインを預かっているのだから、銀行と同様なセキュリティ対策がとられるべきでしょう。ところが、現実には複雑なシステムを少人数で維持しているので、外部からの攻撃によるトラブルが多数発生しています。
 そのうち、2014年に発生したMt.Goxでの事件は、規模が大きく、根拠地が日本であったことから、大きな話題になりました。

2009年、ジェド・マケーレブ(Jed McCaleb)、Mt.Gox設立。当初はトレーディングカード交換所。
2010年、ビットコイン取引所に業務変更
マケーレブは、共通ファイルのP2Pソフト「eDonkey」開発者
 2011年、日本在住のフランス人マルク・カルプレス(Mark Karpelès)、Mt.Goxを買収してCEOに就任。日本を根拠地として事業を拡大。
カルプレスは、ネットワークエンジニア、来日してMt.Gox以外にTIBANNE社、Shade3Dを創業
 2013年頃、Mt.Goxは、全世界ビットコイン取引シェアは70%を占めるまでに発展し、会員数は海外ユーザが主で60万人、手数料収入を中心に同年3月の売上高は1.35億円に達しました。

2014年2月、利用者の預かりコイン75万BTCと自社保有の10万BTC(480億円相当)が消失するという事件が発生しました。12.7万人の被害者(日本人は0.8%)に対し、65億円の負債を抱え、同年3月、負債超過になり破綻、民事再生法適用の申請をしました。
 原因は外部からのサイバー攻撃だとされています。2月上旬に大規模なDDoS攻撃を受け取引不能になり、その後にシステムの欠陥を突かれて大量のBTCが不正に引き出されたといわれています。
 同社はこれまでにも数回大きな攻撃を受けており、システムのセキュリティ対応が不十分なことが指摘されていました。

これは他の取引所でも同様です。この事件の前後に限っても、2月にはBitstamp(英、スロベキア)が引出し停止、Flexcoin(カナダ)が900BTCが盗まれ取引停止の状態になりました。

このようなトラブルにより、ビットコインに対する懸念が高まりましたが、それでも500~600ドルの相場で維持しており、ビットコインの市場は定着されているようです。

不正取引

インターネットによる麻薬売買などの不正取引が問題になっていますが、ビットコインは一般通貨よりも当局の介入が弱いので、闇の取引サイトで使用されることが多いといわれています。

コスタリカのLiberty Reserve サイトは、身元確認が不要な口座開設、不正取引のマネーロンダリングに関わり、幅広いサイバー犯罪を助長したとして運営者が逮捕されました。そのときまでに、100万人を超す利用者がおり、約5500万回、60億ドル以上を送金していたそうです。この事件は、ビットコインとは直接の関係はありませんでしたが、ビットコインを利用すれば、このようなサイトが容易に開設できると懸念されています。

闇サイト Silk Rord では、麻薬、海賊版コンテンツ、盗難クレジットカード情報などの売買仲介を、身元を隠すTorというソフトを用いてビットコイン決済できるようにしました。運営者が逮捕されたときには、100万人近い会員が登録されており、1,160億円の売上があったそうです。

法的規制が不十分なことから、当初から詐欺を目的とした取引所が多いといわれています。突如、取引所を閉鎖して預かっているコインを着服するのですが、巧妙なt手口なので犯人を特定するのが難しく、損害賠償を得られにくいといわれています。

ビットコインへの法的規制

ビットコインは、取引の利便性の面では優れており、その発展を阻害すべきではないといわれる一方、
  国の通貨との互換ができることから通貨管理への影響がある。
  不正送金、マネーロンダリング、資産隠しなど不正行為の温床となる。
  被害者保護のための法的規制が必要である。
などの観点から、各国が法的規制の検討をしています。さらには、国際的に共通なルールが必要だとされています。

日本では、3月7日の定例閣僚会議で次のような主旨の見解を示しました。具体的な規制に関しては今後の課題になります。

各国の対応も進行形の状態です。欧米先進国ではビットコインが通貨に及ぼす影響は少ないととらえており、その取引自体は認めるが、マネーロンダリングやセキュリティ対策などに関して取引所の監督を強化する、ビットコイン取引は課税対象にすべきであるなど、最低限の規制にとどめる傾向です。日本も基本的にはこれと同じです。銀行業務として認めるかどうかは、各国により異なるようです。
 2013年に、FRB(米連邦準備理事会)のバーナンキ議長(当時)は、「より迅速かつ安全で、より効率的な決済システムを促進するイノベーションであるならば、長期的には有望であろう」と述べたことが、ビットコインブームに拍車をかけました。

中国は、国が厳しい通貨管理を行っている反面、ビットコインの利用者が多いといわれています。2013年に、貨幣として市場で流通使用すべきではないとして、個人のビットコイン取引は自己責任で行えるが、金融・決済業者のビットコイン取扱を禁止しました。この措置により、ビットコインの相場が一時急落しました。
 ロシアもビットコインを非合法であるとしています。

通貨環境が不安定な国や通貨総額が小さく打撃を受けやすい国では、厳しく規制をする傾向があります。ブラジルでは、サービス提供者には利用者への支払能力の保持及び証明を要求するなど、事実上ビットコインを禁止する規制をしています。タイ中央銀行はビットコインでの物品購入や海外送金受金を違法だとしています。