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制御方式

キーワード

制御、制御安定性、応答関数、伝達関数、過渡応答、制御方式、オープンループ制御、クローズドループ制御、フィードフォワード制御、フィードバック制御、シーケンス制御、ON-OFF制御、PID制御、比例制御、積分制御、微分制御、モデル予測制御、MPC、PWM制御、ファジィ制御


制御とは

入力と出力があり、入力を変化させると出力が変化する系があります。このとき出力が望ましい状態にすることを制御といいます。制御の基本は入力の変化があったときに暴走せず設定した値に収束すること(安定性)です。そのためには、入力が変化したとき、出力が時間的にどのような変化をするかの応答特性を把握する必要があります。

制御安定性
入力が変化したとき、出力が一時的には目標とする設定値からずれても、一定の時間が経過すれば設定値に収束するという特性です。すなわち、どのような入力の変化があっても、暴走したり振動が増幅しないようにすることです。
応答特性
入力変化に対する出力の時間的推移の特性です。それを定式化したものを応答関数といいます。また、出力/入力の変化を時間の関数として表現したものを伝達関数といいます。
  • 過渡応答
    入力が変化してから出力が定常状態になるまでの応答です。入力の特性により、次のように区分されます。
  • インパルス応答
    入力がある値に変化した直後に元の値に戻るときの応答
  • ステップ応答
    入力ががある値に変化し、それが継続するときの応答
  • 周波数応答
    入力が一定の周期をもって変化するときの応答

制御方式の種類

オープンループ制御
外部からの信号を用いることなく制御する方式です。例えば、流量制御において、タンクの水量やタンクからの流出量を実際に検出することなく、理論的な数学モデルで計算した値に従って、タンクへの流水量を制御する方式です。
モデルで考慮していない外乱に対応できない欠点がありますが、単純で安価である為、単純なプロセスや故障耐性を重視するプロセスによく使われます。
フィードフォワード制御やシーケンス制御で用いられます。
クローズドループ制御
システムの出力を入力にフィードバックすることにより制御する方式です。上の例では、タンクの水位計や流出の水量計などのセンサからの信号を受けてタンクへの流水量を制御します。このように、出力信号を入力制御に渡すことをフィードバックといいます。
オープンループより正確で適応的な制御ができます。
フィードバック制御、ON-OFF制御、PID制御で用いられます。
フィードフォワード制御
オープンループ制御の一つです。外乱による影響が現れる前に,修正動作を行うこと。例えば、外気温度を測定して空調の運転を変えること。
フィードバック制御
クローズドループ制御の一つです、外乱による影響を検知してから修正動作を行うこと。例えば、流量を一定に保つとき、流量計のデータを得てバルブの開閉を行なうこと
・負のフィードバック:出力の増加→入力の減少。一定値の維持
・正のフィードバック:出力の増加→入力の増加。状況変化の増幅
シーケンス制御
あらかじめ定められた順序または条件に従って、制御の各段階を逐次進めていく制御方法です。例えば、洗濯機で洗濯・ゆすぎ・乾燥などを自動的に行うこと。通常はオープンループ制御になりますが、単純なクローズドループ制御を含むこともあります。/dd>
ON-OFF制御
単純なフィードバック制御です。タンクの水位に上限値と下限値を設定しておき、水位計が上限値を超えたら流入バルブを閉め、下限値より下がったら開けるというような方式です。
フィードバックに時間がかかると、オーバーシュートしがちとなり、サイクリングを繰り返して不安定になります。
PID制御
フィードバック信号により入力を制御するとき、基本的に、目標値と測定値の関係により、Proportional(比例制御),Integral(積分制御),Differential(微分制御)の方式がありますが、その総称あるいはこれらを組み合わせた制御方式ですです。
比例制御
ON-OFF制御のような二値ではなく、上限値と下限値の間を比例帯といい、比例帯に比例した制御をします。比例帯を狭く設定するとON-OFF制御のような状態になり、広く設定すると安定性は向上しますが、操作量の感度は小さくなります。
積分制御
一定期間の測定値累計に着目して制御する方式です。安定するが応答が遅い特徴があります。
微分制御
測定値の変化に着目して制御する方式です。車の運転で直前だけを見てハンドル操作をするようなもので、応答が速いが不安定(過剰反応)な特徴があります。

特定目的の制御方式

モデル予測制御(Model Predictive Control、MPC)
フィードバック制御は、外乱を「検知」してから修正動作を行うのに対して、外乱を「予測」して修正動作を行う方式です。その予測には高度な数学や機械学習などが使われます。
自動車の自動運転での軌道追従問題に有効だとされています。
PWM制御
PWM(Pulse Width Modulation、パルス幅変調)は、半導体を使った電力を制御する方式の1つで、一般的な制御方式というよりも、オンとオフの繰り返しスイッチングを行い、出力される電力を制御する特定の用途での制御です。
インバーター回路で、オンの時間幅を周期的に変化させることにより正弦波の交流電圧を作ることができます。優れた制御性と、高効率が特長で、モータの駆動制御に使われています。
ファジィ制御
ファジィ(fuzzy)とは「曖昧な」「境界がはっきりしない」という意味。制御というより状況検知におけるファジィな情報をどう取得して判断するかが主になります。適用例として、
  洗濯物の汚れ具合を光センサで検知し最適な選択時間を設定する。
  地下鉄自動運転で、ベテラン運転士のノウハウをAI処理して、安全・快適で省電力な運転制御をする。
などがあります。