Web教材一覧システムの調達

SoR・SoE・SoI
(顧客視点による情報システム設計概念)


顧客満足の向上による競争優位の確立が経営戦略の重点だと認識されてきたのに伴い、情報システムも顧客視点から再構成しようという動きが活発になってきました。そのときの設計概念による情報システムの分類として、「SoR」「SoE」「SoI」があります。

SoR(System of Records)

「記録を重視したシステム」で、データベースの構築と加工を主としたシステムです。従来の社内業務を対象にした情報システムの大部分はこのSoRでした。基本的な設計思想は、正確性、信頼性、安定性です。
 従来から、生産・流通・販売システムなどの基幹系システムは個別に設計するのではなく、統合した観点で設計するべきであり、その統合の手段となるのがデータベースであるとされてきました。しかし、従来の統合化は、基幹系システムが扱う構造的データを対象に、データの一元化によるシステムの簡素化や管理の容易化など技術的な観点が濃厚でした。また、データ構造も最初の設計段階と大きく変化することのない静的なシステムを前提にしていました。
 顧客満足向上の観点では、従来型のシステムでもCRM(顧客関係管理)で代表されるように、多くのシステムが顧客満足向上を念頭に設計されるようになってきました。

SoE(System of Engagement)

ここでの Engagement とは「結びつき」の意味です。SoEは、顧客との結びつきを重視したシステムのことです。
 SoRが主に基幹システムを対象にしていたのに対して、SoEで対象にするのは、WebシステムやSNSなど、実際に顧客に活用され、顧客との関係を強化することを目的としたシステムです。このシステムは、非構造的データも対象とした動的なシステムです。

それらの顧客視点を、そのまま分析することもありますが、SoEでの顧客からの非構造的データを何らかの手段により構造的データに加工して、SoRのシステムに渡すことができます。そして、SoRで、顧客視点から必要な項目は何か、それを扱うシステムはどうあるべきかなどを検討することができます。

SoI(System of Insight)

ここでの Insight とは、顧客の欲求や行動心理のことです。SoIとは、これらの分析をすることにより、顧客へのサービスを向上するシステムのことです。代表的な例に、顧客の通販サイトの購入記録やWebサイトの閲覧記録をもとに、おすすめや関連する商品を表示する機能(レコメンド機能)があります。

SoIは、SoRとSoEの双方から得られるざまざまな定型/非定型のデータを分析して設計されますし、SoIへ顧客のレスポンスは、SoRとSoEにフィードバックします。このように、これら3つは相補う関係にあります。