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ERPパッケージによるシステム開発の考え方の変化

キーワード

MakeからBuyへ、ユーザ主導から経営主導へ


ERPパッケージによる情報システム開発は,従来のシステム開発の考え方や情報システム部門のありかたに、大きな影響を与えています。

MakeからBuyへ

従来は,個々の情報システムを自社で開発することが前提になっていましたが,ERPパッケージの普及は,情報システムはハードウェアと同様に購入するものだということになりました。これは,情報システム開発業務の考え方を根本的に覆すものだといえます。

情報システム部門の位置づけ

自社の情報システムについて詳しく知っていることが情報システム部門の重要な存在意義でした。情報システムをよく知っているからこそ,改訂作業も円滑に達成できたのです。ところがERPパッケージでの開発作業は,パッケージベンダの技術者と利用部門が中心になりますので,構築された情報システムについて,情報システム部門が利用部門以上に詳しいとはいえなくなります。

それに,ベンダが知らないカスタマイズを行なうと,ERPパッケージのバージョンアップなどのときに,トラブルが発生する危険があるので,改訂業務もベンダが行なうことを契約に盛り込んでいるのが通常です。そのため,情報システム部門は,システムの詳細を知っていても改訂作業を行なうことができないことになります。利用部門からの要求をベンダに伝えるだけの情報システム部門ならば,そのような部門は存在意義がないので,解体したらどうかということにまで発展することにもなります。

ユーザ主導から経営主導へ

情報システムは業務に合致して利用されて効果を生むものです。業務をよく知り,実際に利用するのは利用部門(ユーザ)ですから,ユーザニーズをよく取り込んだシステムにすることが重要だとされてきました。そのような考え方を「ユーザ主導」といいます。

ところが,ERPパッケージでは,BPRを実現するのが情報システムの目的であり,それには経営的観点からアプローチすべきで,個々のユーザニーズを取り入れてカスタマイズを増大させるべきではないとされています。これは「経営主導」ともいうべき考え方であり,ユーザ主導の情報システム開発の考え方とは相反するものです。