個人向けクラウドサービスとは
従来からインターネットからダウンロードして無料で使えるフリーソフトが多くありましたが、2000年代後半から、プロバイダのサーバにあるストレージやソフトウエアを無料で利用できるサービスが普及しました。そのようなサービスを「個人向け(パーソナル)クラウドサービス」といいます。
主に個人向けのサービスですが、中小企業でも利用できます。一般的に、機能を限定したり、画面に強制的にCMが入る無料☆のものと、それらの制限のない有料のものを合わせて提供しています。
無料とはいえビジネスですから、社会奉仕だけが目的ではありません。
・自サイトへのアクセスを増加させることで、広告収入の増大を図る。
・無料利用で利用者を増やし、有料利用へと誘導する。
・利用者を囲い込むことにより、関連製品・サービスの顧客にする。
・利用者が増大すれば、そのサービス機能が業界標準になり企業価値が高まる。
など、波及効果が高いのです。
個人向けクラウドサービスは急速に普及☆し、サービスも向上しているので、最新情報を追うのは至難です。ここでは、2010年代初頭時点の状況を示します。
次のようなサービスが広く利用されています。
- ストレージ
画像や文書などの保存のために、プロバイダ側のサーバで保管するサービスです。本人がバックアップ用や移動先での利用に用いるだけでなく、限定したグループに公開する機能もあります。
無料サービスでのストレージ容量は5GB程度が多いのですが、2011年にレノボが200GBを提供(自社製品ユーザに限定)すると発表、話題になりました。
- 電子メール
電子メールが無料で使える(通信料は自己負担)だけでなく、メールそのものの保管も無料でサービスします。どのパソコンからも送受信できるので便利です。
- オフィスソフト
代表的なオフィスソフトに、WordやExcelなどのMicrosoft Officeがありますが、かなり高価です。OpenOffice.org☆など、Microsoft Officeと同等な機能を持ち互換性を持つフリーソフトが多数提供されていますが、クラウドサービスが普及してきました。これもデータの保管や閲覧のサービスがあります。
2010年には、Microsoft自身がクラウドサービスを提供するようになりました。
- その他
パソコンのデータと同期をとるストレージサービス、メールやWebページ閲覧でプロバイダサイトを経由してウイルス対策ソフトでのチェックを行うサービスなど多様なサービスがあります。
OpenOffice.org はワープロ、表計算、プレゼンテーション、作図ツール、データベース、数式など、Microsoft Officeと同等な機能と互換性を持つオープンソースソフトウェアです。
2000年、Sun Microsystemsは、StarOffice のソースコードをオープンソースライセンスで公開してOpenOffice.orgプロジェクトを立ち上げました。その後、Sun MicrosystemsはOracleに買収されましたが、OracleもOpenOffice.orgを支援し、非営利団体が管理するのが望ましいとして、2011年にApacheソフトウェア財団にソースコードを提供しました。現在は、Apache OpenOffice.orgプロジェクトとして運営されています。
主なサービスプロバイダとサービス内容
2010年代初頭時点で、有名であり利用者の多いものを列挙します。
- Google:Google Apps
Gmail(メール)や
Google ドキュメント(オフィスソフト)などがあります。2006年にGmailを開始し、2010年当初で最も利用者が多いサイトになりました。
- Microsoft:Windows Live、
Office Web App
Microsoftのクラウドサービスは、かなり遅れて2010年から本格化しました。Windows Liveは、Hotmail(メール)を軸に、パソコンのOffice 2010のデータなどをSkyDrive(ストレージ)に保管し、編集、共有ができます。Office Web AppsはWord、Excel、PowerPointのクラウドサービスです。それらのソフトを購入しなくても利用できます。
- Apple:iCroud
AppleのiPad、iPhoneの双方からiTunes in the Cloudは(iTunes Storeで購入済みの楽曲)、フォトストリーム(写真)、Documents in the Cloud(書類)などを保管、同期、配布などができるストレージサービスです。利用機器が限定されますが、逆に購入者の多数がこのサービスを利用するので、利用者の多いサービスです。
- Dropbox:Dropbox
オンラインストレージと複数のパソコン間でデータの共有や同期を可能とするストレージサービスです。2008年のサービス開始から使いやすさに定評があり、2011年に日本語対応がされて日本の利用者が増大しました。
- Evernote:Evernote
クリックボードのように、メモやブックマークなど比較的少量のデータをパソコンやスマートフォンから送受信するサービスです。2010年に日本語対応になりました。これも急成長しています。
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