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PPM(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)

ポイント

PPMとは,自社の持つ経営資源の配分,すなわち自社が進むべき方向や重点政策を決めるための理論です。

キーワード

プロダクトライフサイクル,イノベーター理論, 経験曲線,PPM(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント),問題児,花形製品,金のなる木,負け犬, 投資優先度スクリーン


プロダクトライフサイクル

どのような製品(事業も含む)も導入期→成長期→成熟期→衰退期をたどります。それをプロダクトライフサイクルといいます。製品がどのフェーズにあるかを認識して,それに合致した戦略を講じることが必要です。とくに近年はライフサイクルの周期が短いので,市場動向の早期把握が求められます。

製品のライフサイクルと販売数量・利益との関係
導入期
新製品が発表された直後は,価格も高いしその効果も不明なので,あまり売れません。この時期では,新製品の魅力を訴求することが重点になります。それに失敗すると,売れないままに消滅することになります。
成長期
新製品の効果がわかり,多くの人が買うようになると,急速に成長します。しかし,増産のための設備投資や他社の参入による競争の激化により,利益はあまり上がりません。
成熟期
この製品が一般にいきわたると,売上が最大になります。生産設備の増強も必要なく,ほぼシェアも固定してきますので,費用はあまりかからなくなります。それで利益が最大になります。
衰退期
よく売れている製品も,次の新製品の出現により売れなくなり,過剰在庫や遊休生産設備による損失が出てきます。早期の撤退が必要になります。

イノベーター理論

新商品(購入を主とするので「製品」を「商品」とします)のライフサイクルは、購入者の動向に左右されます。エベレット・M・ロジャースは、イノベーター理論を発表しました。新商品購入者層を早い順から次の5つのタイプに分類し、それらの大まかな比率を示しています。

Innovators(革新的採用者、冒険者)・・・2.5%
導入されて間もない製品を最初に購入するのはイノベーターです。イのベータは商品の目新しさに興味を持ち、商品のベネフィット(効果)などには関心がありません。商品の紹介には役立ちますが、大衆への普及には大きな影響をもちません。
Early Adopters(初期少数採用者、オピニオンリーダー)・・・13.5%
アーリーアダプターは、単なる目新しさだけでなく、新商品の持つ新しいベネフィットに関心をもち、商品開発者が意図していたベネフィットや用途とは異なるベネフィットや用途を考え出します。それは商品の初期の改良や、商品市場の開発につながります。また、アーリーアダプターの評価がクチコミなどにより、大衆への普及が左右されます。
 それで、アーリーアダプターへの普及や評価を高めることが、商品普及の鍵を握るとされ。オピニオンリーダーといわれます。なお、イノベーターとアーリーアダプターの合計16%が商品ライフサイクルの導入期に相当します。
Early Majority(初期多数採用者、前期追随者)・・・34%
新商品の成長期の原動力になるのが、アーリーマジョリティです。アーリーアダプターが開拓したベネフィットや用途に刺激されて関心をもった大衆が購入するようになります。
Late Majority(後期多数採用者、後期追随者、フォロワーズ)・・・34%
アーリーマジョリティの参加により、新商品購入者が50%を超えるようになると、一般大衆が新商品を購入するようになり、もはや「新」商品ではない状態になります。成熟期に達したのです。
Laggards(採用遅滞者、伝統主義者)・・・16%
新商品が普及しても、従来の商品に慣れており、それから新商品に移行するのを好まない層があります。このような層は、進んで新商品を採用するのではなく、旧商品の入手が不便になった、世の中の趨勢によるなどの理由によります。

経験曲線

ある製品の累積生産量が大きくなるにつれてその製品を生産するコストは低減します。それを経験曲線効果といいます。先行してこの分野に参入し,高い市場占有率(シェア)を得ることにより,競争企業よりもコスト面で優位に立つことができます。成長期において,費用をかけてもシェアを高める必要があるのです。

経験曲線

PPM(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)

ボストン・コンサルティング・グループは,製品ライフサイクルを市場成長率,経験曲線効果を相対的市場占有率と解釈して二つの軸とし,自社製品を4つの象限に位置づけることにより,それぞれにどのように経営資源を配分するべきかを示すPPM(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)を開発しました。

PPMの図示
問題児
導入期から成長期にある製品は,成長のために大きな投資を必要とします。それによってシェアを拡大でき成長も高ければ花形製品になりますが,シェア確保ができないうちに成長が低下すると負け犬になってしまいます。新製品の開発への研究投資,成長予測や自社能力を考慮した製品選択をした重点投資が必要です。
花形製品
自社のシェアが高く成長率が高いので代表的製品です。それによる収入も多いのですが,急成長への増産態勢や競争力の強化のための投資も大きく,利益にはあまり貢献しません。成熟期になるまでシェアを維持して金のなる木にすることが必要です。
 たとえばインターネットでのポータルサイトやサイバーモールは非常に華やかですが,あまりにもアクセスの伸びが急速なので,それに対処するための設備投資が大きく,赤字続きのところが多いのです。しかし,それを渋ったら,すぐに2番手・3番手になります。しかも,このような世界ではトップのひとり勝ちの世界ですから,すぐに消えてしまいます。どこまで投資による赤字に持ちこたえられるかが勝負になります。
金のなる木
成熟期になると、増産のための積極的な投資が必要なくなります。市場占有率の高い製品は大きな収入源になります。しかし、いつかは衰退しますので,利益がある間に問題児や花形製品に投資することが必要です。
負け犬
シェアが低いと競争に負けてしまいます。利益も得られません。早急に撤退することが重要です。現実には,負け犬になったのにもかかわらず,撤退のタイミングを遅らせたために,その損失が企業全体に影響して倒産になることが多いのです。特に経営者がはじめた事業では,負け犬だとわかっていても撤退を進言する者もいないし,経営者は金のなる木にしようと拡大政策を図るので,損失が急速に増大するのです。

投資優先度スクリーン

PPMでは「製品」としていますが「事業分野」といっても同じですし,「事業組織」と考えることもできます。そのようにとらえた組織をSBU(Strategic Bisiness Unit:戦略事業単位)といいます。
 PPMから派生した、SBUへの投資戦略を対象にしたポートフォリオ分析に「投資優先度スクリーン」(Investment Priority Screen)があります。
 「市場の魅力度」を縦軸に、「自社の優位性」を横軸にとり、それぞれ3分割して、個々のSBUをいづれかの象限にあてはめ、各SBUについて、さらに投資するか、選択的に判断するか、資源を削減するかの判断資料とします。

      ┌────┬────┬────┐
     高│ 選択 │ 投資 │ 投資 │
    市↑│ 投資 │ 投入 │ 投入 │
    場│├────┼────┼────┤
    の││ 資源 │ 選択 │ 投資 │
    魅││ 削減 │ 投資 │ 投入 │
    力│├────┼────┼────┤
    度││ 資源 │ 資源 │ 選択 │
     低│ 削減 │ 削減 │ 投資 │
      └────┴────┴────┘
       低───────────→高
           自社の優位性


理解度チェック: 正誤問題
過去問題