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アドバンテージマトリクス


事業には栄枯盛衰があります。投資をして規模を大きくすれば収益性が高くなる分野もあれば、そうではない分野もあります。アドバンテージマトリクスは、ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)が考案した、業界の企業間格差が生まれる要因に注目して、業界を分類する手法です。
 縦軸に「業界の競争要因の数」と横軸に「優位性構築の可能性」を取り、それらの大小により4つの類型に分類します。さらに、各類型について、各企業の規模とROA (Return On Assets、対総資本が当期純利益比率=収益率の尺度)をプロットします。

競争要因が少ないとは、競争手段が少ないので勝ち負けが単純に決まるということです。
 優位性構築の可能性が大きいとは、その競争要因により競争優位を獲得できることです。

規模型事業
競争要因が少なく優位性構築の可能性が大きい事業です。競争手段が限られており、その分野に大きな経営資源をつぎ込めば、容易に競争優位に立てる事業です。すなわち、規模と収益性が比例する「規模型事業」だといえます。多数の製造業界がこれにあたります。
分散型事業
競争要因が多様で、優位性の構築が難しい事業です。ユニークな競争要因で競争ができるので、小規模な段階で優位に立つ可能性がありますが、大規模になると収益性の維持が困難です。小さな事業が乱立し大規模にできない特徴があります。アパレル業界などがこれにあたります。
特化型事業
競争要因が多いことは、ユニークな競争要因で勝負でき、しかも優位性構築の可能性が大きいのですから、コアコンピタンスをもつ企業が大きな利益を得ます。規模と収益性の相関がないのが特徴です。特殊機器製造業など。
手づまり型事業
競争要因が限定しているのに、優位性構築が難しい事業です。何をやればよいかわかっているのに、それをやっても儲からないという事業です。いわゆる斜陽産業がこれにあたります。手づまり型事業は撤退するか、新しい競争要因を探してそれに傾力して特化型事業に移行する必要があります。