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エキスパートシステム

キーワード

エキスパートシステム、人工知能、AI、知識ベース、推論エンジン、対話方式、ファジィコンピュータ


エキスパートシステムとは、専門家(エキスパート)が持っている知識をコンピュータに記録して、素人でも専門家に準じた知識を得られるようにしようというシステムです。
 1972年に、初のエキスパートシステム MYCIN(伝染性の血液疾患を診断し抗生物質を推奨するシステム)発表(1979年、EMYCINに発展)。1980年代になると、実務に広く適用されました。特に高齢になった職人の知識を承継して、生産分野のデジタル化に利用することが注目されました。

そもそも推論とは、人間固有の知的活動です。それを数学的論理に限定されるにせよ、システム化できることは重要です。知識ベースのルールは多数の専門家により追加、修正できるので、一人の専門家によるシステムよりも、優れた判断ができます。また、既知の問題を解かせて解を検討することにより、ルールの不足やルール間の矛盾を発見して修正することができます。

エキスパートシステムは、1980年代に実務者の間にも、技術継承や設備運転マニュアルなどの用途で関心が広まりました。当時は次のような適用が期待されました。

知識ベース獲得に専門家から「知識」を引き出すのが難しいこと、知識間に矛盾があること(結果が得られない)こと、コンピュータ性能が低く、円滑な対話ができなかったことなどから、限られた分野以外にはあまり普及しませんでした。

(注)ファジィコンピュータ

エキスパートシステムは、通常はLispやPrologなどのプログラミング言語により記述したシステムをノイマン型コンピュータに実装して用いています。

しかし、エキスパートシステムでは、「ちょっと速く」などファジィな表現になることがよくあります。
 ファジィ論理では真理値表は連続性のある確率分布になります。このような論理を実装するにはデジタル回路よりもアナログ回路のほうが適しています。しかし、全体のシステム記述ではデジタル論理を用いる必要があります。ファジィコンピュータは、アナログとデジタルを組み合わせたハイブリッドコンピュータになります。

ファジィ論理が大きな部分を占める大規模エキスパートシステムでは、それに特化したファジィコンピュータが必要だといわれ、製作されたこともあります。しかし、汎用性に欠けることから、普及しませんでした。現在では自動制御などの分野に限定されているようです。


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