━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ IT Pro Executive Radar by 日経情報ストラテジー     2004/02/25 ……………………………………………………………………………………………… 〜 IT経営に関するニュースやトレンドを毎週お届けします 〜 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ コ┃ラ┃ム┃ 木暮仁の「情報化の法則」(経営情報におけるマーフィーの法則) ━┛━┛━┛━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 情報システム部門の片想い ●経営者への片想い  情報システム部門は「経営と密着した・・・」などという。論者からも「情報シス テム部門は経営者とのコミュニケーションが重要だ」と指摘され,それが不十分なの は情報システム部門が自覚がたりないからだと叱咤されている。  常識的に考えて,それなりの重要性がなければ情報システム部長や部員が経営者に 押しかけて話をするのははばかれる。それよりも,経営者が情報システム部門にふら りと出向いたり,特別な用事がなくても情報システム部員を呼びつけるほうが簡単で ある。  コミュニケーションはふだんの接触から生まれることは経営者もよく知っている。 だからこそ,日常的に企画部,営業部,経理部などに出かけたり,そこの部員を呼び つけたりしているのだ。それに対して,この1年間に情報システム部門とはどれだけ 接触しただろうか? すなわち,経営者は情報システム部門には関心を持っていない し,まして経営での情報化について情報システム部門を説得しようなどとは思ってい ないのである。  それなのに,情報システム部門がことさらに経営者とのコミュニケーションを強化 したいなどというのは,経営者の大切な時間を浪費させる背任行為である。 ●利用部門への片想い  情報システム部門は情報システムを愛する。よいシステムにするためには連日の徹 夜さえも厭わない。その原因が,利用部門の要望分析が不十分なために生じた場合で すらそうである。  本来ならば利用部門のためのシステム開発プロジェクトなのだから,最大の当事者 である利用部門が,面倒くさがる情報システム部門の尻を叩くのが当然である。とこ ろが現実には,専任のプロジェクトメンバーを出したがらないし,兼任のメンバーは 本業業務が忙しいことを理由にして会合に出席しない。ましてやテスト段階では「と もかく任せるからエラーのないようにしといてよ」という態度である。  特に最近は,開発者と利用者がペアになって開発する環境が多くなってきた。それ なのに,利用部門メンバーが来ないので,仕方なく開発者が適当に判断して先に進む。 たまたま出てきたときに,その誤りを指摘して振り出しに戻ることもある。しかも, それを修正すると,やはり以前のほうがよいといい出す始末である。真剣に考えては いないのだ。そのくせ,実施段階になると「こんなシステムでは使いにくくて困る」 といい,すべての責任が情報システム部門にあるようなことをいう。  実は,利用部門は情報化要求のアンケートが回ってきたので,白紙で提出するのは 失礼だと思って適当なことを記入したのかもしれない。あるいは,利用部門のなかの 好き者が,個人的興味で要求したのかも知れない。まさか予算会議で「実は・・・」 とはいえなかったので,美辞麗句をならべたら実際の行うことになってしまい,内心 は迷惑だと思っているのだろう。少なくとも,このプロジェクトには自分の時間を割 くほどの価値はないと思っているのだ。 ★お願い  どなたか次の統計をご存知でしたら,ぜひ教えてください。  1 経営者が各部門に出かけたり,各部門の担当者と話をした回数および時間(雑    談や勤務時間以外も含む)。  2 情報システム開発プロジェクトでの,情報システム部門メンバーと利用部門メ    ンバーの会合出席率。